第105回医師国家試験 D24(2011年)
正答:e
問題
57歳の女性。労作時の胸部圧迫感を主訴に来院した。1か月前から通勤時の坂道歩行で呼吸困難と胸部圧迫感とを自覚したが、立ち止まると軽快していた。症状が徐々に増悪するため来院した。意識は清明。呼吸数16/分。脈拍76/分、整。血圧146/82 mmHg。心音に異常を認めない。トレッドミル運動負荷心電図(別冊No.4)を別に示す。診断のために最も有用な検査はどれか。
a.心エコー検査
b.Holter心電図
c.胸部MRI
d.胸部単純CT
e.冠動脈造影

正答の理由
労作で誘発され安静で軽快する胸部圧迫感に加え、運動負荷後にST低下を認め、心筋虚血が疑われるため、冠動脈病変の解剖学的評価に冠動脈造影が有用である。これは2011年の出題時の選択肢・正答に沿った説明であり、現行診療では事前確率と患者背景により冠動脈CTや負荷画像検査も選択される。
画像の見方
別冊No.4は運動負荷前後の12誘導心電図。原本で縦向きに配置された図版を90度回転して読みやすくし、誘導名と負荷前・負荷後のラベルを保持した。 負荷後にII・III・aVFおよび胸部誘導でST低下を認め、運動誘発性心筋虚血を示唆する。
各選択肢の検討
a.心エコー検査。誤り。心機能・弁膜症や壁運動を評価するが、冠動脈狭窄の解剖学的確定にはならない。
b.Holter心電図。誤り。日常生活中の不整脈や発作性心電図変化の記録に用いるが、運動誘発性虚血と冠動脈解剖の評価に最も有用ではない。
c.胸部MRI。誤り。心筋や大血管の評価に用いるが、冠動脈内腔を直接描出する標準的な確定検査ではない。
d.胸部単純CT。誤り。胸部の構造評価に有用だが、単純CTで冠動脈狭窄を確定診断できない。
e.冠動脈造影。正しい。狭心症状と運動負荷試験で虚血が示唆され、冠動脈狭窄の部位・程度を直接評価するために有用である。
覚えるポイント
現代の安定胸痛診療では冠動脈CT血管造影や負荷画像を含む複数の検査選択肢があり、侵襲的造影は臨床リスクに応じて選ぶ。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- The 2021 AHA/ACC Guideline for the Evaluation and Diagnosis of Chest Pain: An Interventionalist’s Viewpoint
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。