第104回医師国家試験 I60(2010年)
正答:採点対象から除外(公式正答なし)
問題
19歳の女性。無月経を主訴に来院した。10歳時に1型糖尿病と診断され、以後インスリンによる治療を開始した。1年ほど前から体重が次第に減少し、このころから無月経となった。身長158 cm、体重32 kg。脈拍48/分、整。血圧84/52 mmHg。血液所見:赤血球390万、Hb 8.6 g/dl、Ht 38%、白血球3,500。血液生化学所見:空腹時血糖128 mg/dl、HbA1c 6.2 %、総蛋白6.3 g/dl、Na 145 mEq/l。前胸部から腋窩にかけての写真(別冊No. 16)を別に示す。
この病態でみられるのはどれか。
a.LH 高値
b.コルチゾール低値
c.成長ホルモン高値
d.インスリン様成長因子高値
e.遊離トリヨードサイロニン高値

正答の理由
公式正答値表ではこの問の正答欄が空欄で、採点対象から除外されています。除外の個別理由を示す一次資料は未取得なので、理由は推測しません。以下の各肢の説明は学習用の参考で、公式正答の代わりではありません。問題文のHb 8.6 g/dl、Ht 38%は原本の表記のままです。参考として、BMI約12.8の著しいやせ、無月経、徐脈、低血圧があり、1型糖尿病を背景に神経性食思不振症を考える経過です。確認した資料では、この状態の内分泌所見として、性腺系の低下、低T3、コルチゾールの相対的高値、成長ホルモン高値とIGF-1低値が挙げられています。
画像の見方
肋骨が浮き出るほどのやせと乳房の発達の乏しさを認める。腋毛は保たれている。
各選択肢の検討
a.LH高値。参考:視床下部性の性腺機能低下で、LHの拍動は思春期前のパターンに戻ります。高値にはなりません。
b.コルチゾール低値。参考:飢餓のストレスで分泌が増え、相対的な高コルチゾール血症とされています。
c.成長ホルモン高値。参考:栄養障害による成長ホルモン抵抗性のため、成長ホルモンは高値、IGF-1は低値とされます。資料上の内分泌所見と合う肢ですが、公式正答として扱うことはできません。
d.インスリン様成長因子高値。参考:飢餓で肝での産生が低下し、IGF-1は低値になります。
e.遊離トリヨードサイロニン高値。参考:sick euthyroidに似た低T3が特徴で、高値にはなりません。
覚えるポイント
採点除外問で公式正答はない。神経性食思不振症ではLH低下、低T3、高コルチゾール、GH高値とIGF-1低値を整理する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Anorexia Nervosa
- The Pathophysiology of Anorexia Nervosa in Hypothalamic Endocrine Function and Bone Metabolism
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。