第104回医師国家試験 I35(2010年)
正答:b
問題
肺血栓塞栓症で正しいのはどれか。
a.るいそうは危険因子である。
b.下肢深部静脈血栓が原因となる。
c.胸部エックス線写真で肺血管陰影が増強する。
d.急性左心不全をきたす。
e.術直後の発症例では血栓溶解療法を優先させる。
正答の理由
肺塞栓のほとんどは下肢や骨盤の深部静脈に生じた血栓が流れて起こります。したがって下肢深部静脈血栓が原因とする肢が正しいです。肥満は危険因子で、血管影は閉塞領域で減弱し、負荷がかかるのは右心です。
各選択肢の検討
a.るいそうは危険因子である。誤り。危険因子に挙がるのは肥満で、手術、臥床、悪性腫瘍、外傷なども含まれます。
b.下肢深部静脈血栓が原因となる。正しい。ほぼすべての肺塞栓は下肢または骨盤の深部静脈血栓に由来し、膝窩静脈以上に及ぶ血栓で塞栓のリスクが高くなります。
c.胸部エックス線写真で肺血管陰影が増強する。誤り。閉塞領域では肺血管陰影が減弱します(Westermark徴候)。診断に直接結びつく特異的所見はありません。
d.急性左心不全をきたす。誤り。肺動脈の閉塞で右室後負荷が増し、起こるのは右室不全です。重症例の死因になります。
e.術直後の発症例では血栓溶解療法を優先させる。誤り。治療の基本は抗凝固療法です。血栓溶解療法の重大な合併症は出血で、大規模手術は相対禁忌に挙げられています。
覚えるポイント
肺塞栓は下肢・骨盤の静脈血栓が原因で、負荷は右心にかかる。術後は出血リスクから血栓溶解を優先しない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Pulmonary Embolism (PE) – Pulmonology – MSD Manual Professional Edition
- 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)日本循環器学会ほか(Internet Archive保存版)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。