第104回医師国家試験 I9(2010年)
正答:d・e
問題
尿路結石で正しいのはどれか。2つ選べ。
a.尿酸結石が最も多い。
b.原発性アルドステロン症に生じる。
c.尿酸結石はエックス線透過性が低い。
d.シスチン結石に重炭酸ナトリウムは有効である。
e.原発性副甲状腺〈上皮小体〉機能亢進症に生じる。
正答の理由
シスチンは尿をアルカリ化すると溶解度が大きく上がるため、重炭酸塩によるアルカリ化が有効です。原発性副甲状腺機能亢進症は高カルシウム尿を介して結石の原因になります。公式正答はd・eです。最も多いのはカルシウム結石で、尿酸結石はエックス線を透過します。なお原発性アルドステロン症でも結石の増加が報告されており、bの病態で結石が生じないと断定はできません。
各選択肢の検討
a.尿酸結石が最も多い。誤り。米国の資料では約85%がカルシウム結石(主にシュウ酸カルシウム)で、尿酸結石は5〜10%です。
b.原発性アルドステロン症に生じる。公式正答ではない。MSDマニュアルが結石の原因となる代謝性疾患として挙げるのは副甲状腺機能亢進症、尿細管性アシドーシス、痛風、2型糖尿病などです。ただし原発性アルドステロン症で結石が生じないわけではありません。出題前の2004年には副腎腺腫に伴う再発性カルシウム結石の症例が報告され、2025年の日本の研究(原発性アルドステロン症140例と非機能性副腎腫瘍144例の比較)では独立した危険因子とされました。尿中カルシウム排泄の増加などが関わると考えられています。
c.尿酸結石はエックス線透過性が低い。誤り。尿酸結石はX線陰性(radiolucent)で、透過性は高いため単純写真に写りにくく、単純CTで検出します。
d.シスチン結石に重炭酸ナトリウムは有効である。正しい(公式正答)。尿をアルカリ化するとシスチンの溶解度が大きく上がるのが根拠で、現行の資料では尿pH 7.0超を目標とします。ただし現行のMSDマニュアルが挙げるアルカリ化薬はクエン酸カリウムや重炭酸カリウムで、食事のナトリウム制限もシスチン排泄の低下に役立つとされます。2010年の正答としての「重炭酸ナトリウムは有効」と、現在の薬剤選択は分けて理解します。
e.原発性副甲状腺〈上皮小体〉機能亢進症に生じる。正しい。高カルシウム尿を起こす代表的な原因で、カルシウム結石患者の最大5%にみられるとされます。
覚えるポイント
結石はカルシウムが85%。尿酸結石はX線陰性でアルカリ化が効く。シスチンもアルカリ化。副甲状腺機能亢進症を見逃さない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Urinary Calculi – MSD Manual Professional Edition
- Cystinuria – MSD Manual Professional Edition
- EAU Guidelines on Urolithiasis
- Primary aldosteronism increases the risk of urinary stones(Endocr J 2025)
- Recurrent calcium nephrolithiasis associated with primary aldosteronism(Am J Kidney Dis 2004、症例報告の抄録)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。