小脳出血で予想される急速な増悪|第104回医師国家試験H28

第104回医師国家試験 H28(2010年)

正答:a

問題

69歳の男性。家族と夕食中に、突然、頭痛と気分不良とを訴え、症状が出てから2時間後に家族に伴われて来院した。5年前から降圧薬を服用していた。意識はやや混濁しており、嘔吐を繰り返している。明らかな四肢麻痺は認められない。頭部単純CT(別冊No. 4)を別に示す。

急速な増悪が予想されるのはどれか。

a.意識障害

b.四肢麻痺

c.血圧低下

d.体温上昇

e.感覚障害

別冊No.4 頭部単純CT。後頭蓋窩の高さの横断像で、小脳の正中から画像の右側にかけて大きな高吸収域がある。
別冊No.4 / 出典:厚生労働省・第104回H別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

突然の頭痛と反復する嘔吐があり、CTで小脳に大きな高吸収域を認める小脳出血です。小脳血腫は第4脳室を閉塞して急性水頭症を起こしたり、脳幹へ波及、圧迫したりします。3cmを超える血腫では脳ヘルニアの危険もあり、意識障害が短時間で昏睡まで進みえます。頭蓋内圧亢進と脳幹圧迫の徴候を監視し、外科治療を含めて判断します。

画像の見方

眼窩と側頭葉が写る後頭蓋窩の高さの横断像で、小脳虫部付近から画像の右側の小脳半球(通常の表示なら左小脳半球)に広がる不整形の高吸収域を認める。周囲は低吸収で、この断面では第4脳室を明瞭に同定できない。

各選択肢の検討

a.正しい。急性水頭症、脳幹圧迫、脳ヘルニアはいずれも意識を障害し、昏睡や死亡につながります。すでにある軽い意識混濁が増悪の出発点です。

b.誤り。大きな半球出血は片麻痺を起こしますが、後頭蓋窩の大出血では共同偏視や眼球運動麻痺、いびき様呼吸、縮瞳、昏睡といった小脳・脳幹の症状が前景に立ちます。本例も四肢麻痺を認めず、まず予想すべき変化は意識の低下です。

c.誤り。頭蓋内圧が著しく上がると、むしろ高血圧、徐脈、呼吸抑制のCushing三徴がみられます。血圧低下は典型的な増悪の徴候ではありません。

d.誤り。本例で急速に命を脅かすのは、血腫による水頭症と脳幹の圧迫です。体温上昇はこの機序で直ちに進む変化ではありません。

e.誤り。後頭蓋窩の大出血で前景に立つのは小脳・脳幹の症状と昏睡です。血腫の増大で問題になるのは、感覚障害よりも意識と呼吸です。

覚えるポイント

小脳出血は水頭症と脳幹圧迫で急速に意識が低下する。後頭蓋窩の出血は意識の変化を追う。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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