全人的苦痛の4つの側面|第104回医師国家試験H19

第104回医師国家試験 H19(2010年)

正答:a

問題

全人的苦痛について適切なのはどれか。

a.遺産相続に関する悩みを含む。

b.家族間の問題への関与は避ける。

c.不安から痛みを訴える患者には鎮痛薬は効果がない。

d.身体的苦痛、心理的苦痛および霊的苦痛の3要素からなる。

e.「どうしてこんな目にあうのか」という訴えには病態生理を説明する。

正答の理由

全人的苦痛(total pain)はSaundersが提唱した概念で、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルの4側面が絡み合って生じる苦痛をいいます。恒藤暁『最新緩和医療学』による全人的苦痛の図では、社会的苦痛の例として仕事上の問題、経済上の問題、家庭内の問題、人間関係と並んで遺産相続が挙げられており、aが適切です。

各選択肢の検討

a.遺産相続に関する悩みを含む。正しい。全人的苦痛の図で社会的苦痛の例に挙げられています。

b.家族間の問題への関与は避ける。誤り。WHOの緩和ケアの定義は患者と家族の問題に対応するものとしており、家庭内の問題も社会的苦痛に含まれます。

c.不安から痛みを訴える患者には鎮痛薬は効果がない。誤り。苦痛の各側面は絡み合っており、不安を伴う痛みでも鎮痛薬の効果を一律に否定できません。痛みの治療では薬物療法に心理的介入を組み合わせることがあります。

d.身体的苦痛、心理的苦痛および霊的苦痛の3要素からなる。誤り。社会的苦痛を加えた4つの側面で捉えるのが基本です。

e.「どうしてこんな目にあうのか」という訴えには病態生理を説明する。誤り。「なぜ私が」という問いはスピリチュアルな苦痛の表れで、医学的な機序の説明では答えになりません。傾聴し、必要に応じて専門職と連携します。

覚えるポイント

全人的苦痛は身体・精神・社会・スピリチュアルの4側面。経済・家庭・遺産相続の悩みは社会的苦痛。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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