第104回医師国家試験 H14(2010年)
正答:b
問題
心筋梗塞の急性期合併症で緊急開心術の適応となるのはどれか。
a.左室瘤形成
b.心室中隔穿孔
c.心原性ショック
d.多形性心室頻拍
e.III度房室ブロック
正答の理由
心室中隔穿孔は左右シャントで急激に血行動態が悪化する機械的合併症で、治療の中心は手術です。突然の大きな収縮期雑音とスリルが手がかりになります。残りの肢は、左室瘤は持続する左室不全や不整脈があるときの切除の検討、心原性ショックはまず血行再建、不整脈は電気的治療、房室ブロックはペーシングで対応するので、bが正答です。なお、現行の資料では、血行動態が安定していれば梗塞部の治癒を待ち最大6週まで手術を遅らせ、不安定なら高リスクでも早期に手術するとされています。また高リスク例にはカテーテル閉鎖も選択肢です。「全例をただちに手術」とは考えないようにします。
各選択肢の検討
a.左室瘤形成。誤り。左室瘤は、左室不全や不整脈が持続するときに切除を検討するもので、緊急手術の対象ではありません。
b.心室中隔穿孔。正しい。手術が根本治療で、血行動態が不安定なら早期の手術が必要です。
c.心原性ショック。誤り。確定的な治療は責任血管の血行再建で、まずPCIまたはCABGを検討します。ショックだけで開心術の適応が決まるのではなく、原因が機械的合併症かどうかを確認します。
d.多形性心室頻拍。誤り。カルディオバージョンなどの電気ショックで対応します。
e.III度房室ブロック。誤り。梗塞部位により頻度が異なる伝導障害で、徐脈に対しては一時的ペーシングなどで対応し、開心術の対象にはなりません。
覚えるポイント
急性心筋梗塞の機械的合併症(中隔穿孔、自由壁破裂、乳頭筋断裂)は手術を考える。不整脈や伝導障害は電気的治療が中心。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Complications of Acute Coronary Syndromes – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。