第104回医師国家試験 H11(2010年)
正答:dまたはe
問題
母体・胎児評価とその方法の組合せで正しいのはどれか。
a.軟産道 ― 骨盤外計測法
b.骨産道 ― 超音波検査
c.陣痛周期 ― 内診
d.胎児心拍 ― ドプラ〈Doppler〉法
e.胎位・胎向 ― パルトグラム
正答の理由
公式の正答はdとeのいずれも正解とする扱いです。胎児心拍は携帯型のドプラ超音波装置で聴取でき、dは明確に正しい組合せです。パルトグラムは分娩の進行を時間に沿って記録する分娩経過図で、出題前の国内の助産誌では、子宮頸管開大度、子宮収縮、児頭下降度、胎児心拍数や内診所見などを記載するものと説明されています。児頭の向きを内診のたびに記入する様式もあり(南アフリカの分娩教材)、2020年のWHO様式も胎児の位置を観察項目としています。eはこの記録という点で成り立ちますが、胎位・胎向そのものを判定する方法はLeopold触診法や内診、超音波検査です。2010年当時の国内の様式に胎位・胎向の欄があったかどうかと、両方を正解とした個別の理由は確認できておらず、ここで述べたeの説明は本解説の整理です。
各選択肢の検討
a.軟産道 ― 骨盤外計測法。誤り。骨盤計測は骨盤の容積や形を推定する骨産道の評価です。軟産道である子宮頸管の開大は内診で確かめます。
b.骨産道 ― 超音波検査。誤り。骨盤入口の計測は内診やX線撮影、CT、MRIで行われてきました。なお、確認した資料では骨盤計測自体が現在はあまり行われないとされています。
c.陣痛周期 ― 内診。誤り。陣痛は触診または機器による電子的モニタリングで観察します。内診で評価するのは頸管開大や児頭の下降度です。
d.胎児心拍 ― ドプラ〈Doppler〉法。正しい。携帯型ドプラ装置では、腹壁から子宮に届けば妊娠8〜10週ごろから心音を聞けます。
e.胎位・胎向 ― パルトグラム。正解として許容(公式)。内診所見や児頭の向きを記入する様式がありますが、判定の手技ではなく、分娩経過を記録する様式です。
覚えるポイント
公式正答はdまたはe。胎児心拍はドプラ法で聴取し、パルトグラムは分娩経過を時間軸で記録する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Evaluation of the Obstetric Patient – MSD Manual Professional Edition
- Management of Normal Labor – MSD Manual Professional Edition
- Advancement in Partograph: WHO's Labor Care Guide
- WHO next-generation partograph: revolutionary steps towards individualised labour care
- 分娩経過記録を充実させるための取り組み―パルトグラム記載基準を作成したことによる効果を探る(助産雑誌 59巻2号、2005年)
- ヘンドリックスが作成した「曲線」の功績(助産雑誌 62巻9号、2008年)
- 3C. Recording observations on the partogram – Intrapartum Care (Better Care)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。