過換気症候群の動脈血ガス|第104回医師国家試験H5

第104回医師国家試験 H5(2010年)

正答:b

問題

過換気症候群の動脈血ガス分析(自発呼吸、room air)の所見にあてはまらないのはどれか。

a.pH 7.523

b.PaO2 70.2 Torr

c.PaCO2 24.8 Torr

d.HCO3− 23.8 mEq/l

e.BE −1 mEq/l

正答の理由

過換気症候群では肺に器質的異常がなく、換気増加でPaCO2が下がって急性呼吸性アルカローシスになります。パルスオキシメトリの酸素飽和度も100%近くを示します。room airの肺胞気式(PAO2=0.21×(760−47)−PaCO2/0.8)で計算すると、PaCO2 24.8 Torrなら肺胞気酸素分圧は約119 Torrです。PaO2 70.2 Torrでは肺胞気動脈血酸素分圧較差が約49 Torrとなり、通常の20未満を大きく超えます。これは肺の酸素化障害を示す値で、純粋な過換気では説明できないのでbがあてはまりません。なお、aとcの値からHenderson-Hasselbalch式で計算するとHCO3−は約20 mEq/lで、dの23.8とは一致しません(cとdからはpH約7.61)。各肢は同じ検体の値としては揃っていないので、値ごとに病態との整合を判断します。

各選択肢の検討

a.pH 7.523。誤り(あてはまる)。CO2の排出増加による急性呼吸性アルカローシスでpHが上昇した値です。

b.PaO2 70.2 Torr。正しい(あてはまらない)。過換気では肺胞気酸素分圧が上がるため、PaO2は低下せず、むしろ高めになります。70 Torr台なら肺塞栓など他の疾患を疑います。

c.PaCO2 24.8 Torr。誤り(あてはまる)。一次性の換気増加を示す低CO2血症で、過換気の本態です。

d.HCO3− 23.8 mEq/l。誤り(あてはまる)。基準範囲(22〜26 mmol/l)内の値です。急性の呼吸性アルカローシスではHCO3−が基準範囲にあることが多く、腎による本格的な代償は2〜3日かけて進みます。

e.BE −1 mEq/l。誤り(あてはまる)。BEの基準は−2〜+2 mmol/lで、−1はこの範囲に入り、代謝性の異常を示しません。

覚えるポイント

過換気症候群はPaCO2低下・pH上昇でPaO2は保たれる。PaO2低下があれば器質的疾患を探す。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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