第104回医師国家試験 G62(2010年)
正答:d
問題
43歳の男性。嗄声と息苦しさとを主訴に搬入された。
現病歴:庭で草花の手入れをしていて指を蜂に刺された。数分後口渇感に続いて嗄声を生じ、息苦しさを感じた。一緒にいた家族が救急車を要請した。
既往歴:以前、蜂に刺されたことがあったが、治療を要するほどではなかった。アレルギー歴に特記すべきことはない。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長172cm、体重60kg。呼吸数24/分。脈拍112/分、整。血圧90/58mmHg。顔面は浮腫状である。心音に異常を認めない。呼気時に喘鳴を聴取する。四肢は温かい。
検査所見:動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.50、PaO2 78 Torr、PaCO2 30 Torr、HCO3- 20 mEq/l。
直ちに使えるように用意しておく器具はどれか。
a.耳鏡
b.検眼鏡
c.前鼻鏡
d.喉頭鏡
e.胸腔鏡
正答の理由
嗄声と息苦しさは上気道の浮腫を示します。アナフィラキシーの上気道浮腫は急に進み、気管挿管が必要になることがあります。挿管には直接または映像喉頭鏡で声門を確認するので、喉頭鏡を直ちに使えるように準備します。アドレナリンへの反応を待つ間に浮腫が進むと挿管できず輪状甲状靱帯切開が必要になることがあるので、早めの準備が重要です。
各選択肢の検討
a.耳鏡。誤り。外耳道と鼓膜を観察する器具で、気道確保には使いません。
b.検眼鏡。誤り。眼底を観察する器具で、本例の気道・循環の管理に役立ちません。
c.前鼻鏡。誤り。鼻腔の前方を観察する器具で、狭窄の場である喉頭は見えず、挿管にも使えません。
d.喉頭鏡。正しい。喉頭展開して声門を確認し、気管チューブを挿入するための器具です。
e.胸腔鏡。誤り。胸腔内の観察や手術に使う器具で、緊急の上気道閉塞には役立ちません。
覚えるポイント
嗄声を伴うアナフィラキシーは上気道浮腫を想定し、挿管の準備(喉頭鏡)を早めに整える。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Anaphylaxis – Allergy and Immunology – MSD Manual Professional Edition
- Tracheal Intubation – Critical Care Medicine – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。