血液透析の原理|第104回医師国家試験G16

第104回医師国家試験 G16(2010年)

正答:d

問題

血液透析について正しいのはどれか。

a.浸透圧の差で除水をする。

b.透析後に血液重炭酸イオン濃度は低下する。

c.カリウムよりもクレアチニンの方が除去されやすい。

d.透析液イオン化カルシウム濃度は正常〜高値に設定する。

e.透析時の不均衡症候群は血漿浸透圧の上昇によって発現する。

正答の理由

血液透析では、拡散で溶質を移動させ、血液側と透析液側の圧較差で限外濾過して除水します。公式正答はdです。透析液のカルシウム濃度は主に1.25〜1.75 mmol/Lの範囲で比較されてきました。血清イオン化カルシウムの基準(約1.17〜1.30 mmol/L)と比べると正常〜高値に当たります。低い濃度では透析後のイオン化カルシウムが下がることが示されており、現行の総説では至適濃度は患者ごとに異なり一律には決まらないとされています。

各選択肢の検討

a.浸透圧の差で除水をする。誤り。除水の中心は透析液側を陰圧にして作る膜間圧差による限外濾過です。MSD Manualは透析液の高い浸透圧にも触れていますが、血液透析の除水を説明する主な原理は圧較差です。

b.透析後に血液重炭酸イオン濃度は低下する。誤り。透析液からの補充で血中の重炭酸は透析後に上昇し、代謝性アシドーシスが是正されます。

c.カリウムよりもクレアチニンの方が除去されやすい。誤り。カリウムは尿素とともに拡散で除かれる小さな溶質で、イオンの大きさ(原子量約39)はクレアチニン(分子量約113)より小さく、膜を通りやすいと考えられます。ただしカリウムは体内総量の約2%しか細胞外になく、透析中に細胞内から補われるため、血清濃度の下がり方は別に考えます。

d.透析液イオン化カルシウム濃度は正常〜高値に設定する。正しい。透析液のカルシウムは1.25 mmol/Lと1.50〜1.75 mmol/Lの比較が研究の中心です。MSD Manualの血清イオン化カルシウムの基準(4.7〜5.2 mg/dL、1.17〜1.30 mmol/L)に照らすと、1.25 mmol/Lは正常域、1.50 mmol/L以上は高値側に当たります。基準値は検査室で多少異なります。

e.透析時の不均衡症候群は血漿浸透圧の上昇によって発現する。誤り。不均衡症候群は血漿の尿素が脳より急速に下がり、血漿浸透圧が相対的に低下することで水が脳へ移動し、脳浮腫が起こる病態です。血漿浸透圧の「上昇」が原因ではありません。

覚えるポイント

血液透析は拡散と限外濾過。不均衡症候群は急激な尿素低下による脳浮腫。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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