第104回医師国家試験 F21(2010年)
正答:bまたはc
問題
56歳の男性。30分前からの胸部圧迫感を主訴に来院した。モニター心電図とパルスオキシメーターを装着し仰臥位で診察を始めた直後に意識を消失し、いびきをかきはじめ不規則な呼吸となった。頸動脈拍動は触知せず、心電図上の心拍数は36/分である。パルスオキシメーターはエラーを表示している。
処置としてまず行うのはどれか。
a.上半身を起こす。
b.胸骨圧迫を開始する。
c.酸素マスクを装着する。
d.アトロピンを静注する。
e.ニトログリセリン貼付薬をはる。
正答の理由
意識消失、死戦期様の不規則な呼吸、頸動脈拍動なしは心停止の所見です。モニターに心拍数36/分の波形が出ていても、脈を触れないので無脈性電気活動として扱います。無脈性電気活動は除細動の適応となる波形ではなく、質の高い胸骨圧迫を直ちに始めます。公式はbとcのどちらも正解としています(単一選択の複数許容)。個別の理由を示す一次資料は未取得です。医学的に最優先の処置は胸骨圧迫で、酸素投与は蘇生の中で併せて行う処置と考えて学習します。
各選択肢の検討
a.上半身を起こす。誤り。脈のない患者には胸骨圧迫が必要で、圧迫は水平で硬い面に寝かせて行います。上半身を起こすと、有効な圧迫ができず開始も遅れます。
b.胸骨圧迫を開始する。正しい(公式の許容解)。心停止を認識したら直ちに始め、中断を最小限にします。無脈性電気活動でも同じです。
c.酸素マスクを装着する。正しい(公式の許容解)。ただし個別の採点理由は未取得です。呼吸が不十分なので酸素は必要ですが、マスクだけでは循環は戻らないため、胸骨圧迫の開始を遅らせてはいけません。
d.アトロピンを静注する。誤り。出題当時の2005年AHA指針では徐拍性の無脈性電気活動に「考慮」とされましたが、対照試験の裏づけは乏しく、胸骨圧迫に先行する処置でもありません。現在は無脈性電気活動には推奨されていません。
e.ニトログリセリン貼付薬をはる。誤り。胸部圧迫感に対する薬で、確認した心停止の手順の初期処置には挙がっていません。脈のない状態でまず行う理由がありません。
覚えるポイント
心電図に波形があっても脈がなければ心停止。胸骨圧迫から始める。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Part 7.2: Management of Cardiac Arrest
- Cardiopulmonary Resuscitation (CPR) in Adults
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。