片頭痛の視覚性前兆|第104回医師国家試験F17

第104回医師国家試験 F17(2010年)

正答:b

問題

芥川龍之介著「歯車」の一部を以下に示す。

のみならず僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。妙なものを?―と云うのは絶えずまわっている半透明の歯車だった。僕はこう云う経験を前にも何度か持ち合わせていた。歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまう、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失せる代わりに今度は頭痛を感じはじめる、―それはいつも同じことだった。

「僕」の症状から最も考えられる疾患はどれか。

a.緑内障

b.片頭痛

c.脳内出血

d.緊張型頭痛

e.慢性硬膜下血腫

正答の理由

視野に半透明の歯車のような図形が現れて数を増やし、しばらくして消えると頭痛が始まる、という同じ経過を繰り返しています。これは片頭痛の視覚性前兆の経過に合います。前兆は数分から1時間ほど続く一過性の神経症状で、視覚症状ではジグザグの光や暗点がよくみられ、多くは頭痛の直前に現れます。一度きりの急な発症でも、徐々に進む経過でもなく、同じ型を繰り返す点が決め手です。

各選択肢の検討

a.緑内障。誤り。視神経の障害と特徴的な視野欠損で定義される病気で、しばらくすると完全に消えて頭痛に移る動く図形の説明にはなりません。

b.片頭痛。正しい。動く図形が数を増やして視野に広がり、消えたあとに頭痛が来る流れを反復しており、視覚性前兆を伴う片頭痛に合います。

c.脳内出血。誤り。突然の発症に嘔吐、局所神経症状、意識の変化を伴うことが特徴で、同じ発作を繰り返して自然に消える経過とは合いません。

d.緊張型頭痛。誤り。頭全体を締めつける軽度から中等度の頭痛で、片頭痛のような随伴症状を欠きます。頭痛に先行する動く図形は説明できません。

e.慢性硬膜下血腫。誤り。高齢や頭部外傷などを背景に、眠気、意識の変化、片麻痺が問題になります。一過性の視覚症状が毎回同じように現れて消える経過ではありません。

覚えるポイント

片頭痛の視覚性前兆は、ジグザグの光や暗点が数分〜1時間で広がって消え、その後に頭痛が来る。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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