第104回医師国家試験 E43(2010年)
正答:e
問題
出生直後の新生児。胆汁性嘔吐があり診察を依頼された。啼泣が弱く、筋緊張の低下を認める。上腹部に軽度の膨隆を認める。顔貌の写真(別冊No. 6A)と胸腹部立位エックス線写真(別冊No. 6B)とを別に示す。
まず行うのはどれか。
a.高圧浣腸
b.気管挿管
c.胃内視鏡検査
d.上部消化管造影
e.経鼻胃管の挿入


正答の理由
問題文に書かれた事実は、出生直後の胆汁性嘔吐、弱い啼泣、筋緊張低下、上腹部の軽い膨隆です。本解説の読影では、立位エックス線写真に大きなガス像と小さなガス像があってdouble bubbleに似ており、それより遠位のガスは目立ちません。ここから十二指腸の閉塞、代表として十二指腸閉鎖を推定します。筋緊張低下と顔貌からはDown症候群も推定しますが、問題文に病名も染色体検査の結果もなく、どちらも推定です。原因が何であれ、上部消化管の閉塞が疑われる新生児の初期対応は、経鼻胃管の持続吸引で減圧し、誤嚥と腹部膨満の悪化を防ぐことです。公式正答はeです。あわせて輸液と保温、新生児外科への紹介を進めます。
画像の見方
No. 6A:顔面は平坦で鼻根部が低く見える。眼の一部は黒帯で隠され、眼裂の傾きは評価できない。No. 6B:左右を示す標識はない。通常の向きとして読むと、画像右側(患児の左)に大きなガス像、画像左側(患児の右)に小さなガス像があり、それより遠位の腸管ガスは目立たない。大きいほうを胃、小さいほうを拡張した十二指腸と推定する。いずれも本解説の読影で、診断名は原本に記載がない。
各選択肢の検討
a.高圧浣腸。誤り。高位の閉塞で上部消化管に貯留があり、下部の浣腸では減圧できません。
b.気管挿管。誤り。啼泣が弱く筋緊張も低いものの、問題文に呼吸不全の所見はありません。Down症候群の新生児は泣くことが少なく低緊張とされるので、推定どおりならこの所見は説明できます。呼吸が悪化すれば別の判断になります。
c.胃内視鏡検査。誤り。上部消化管閉塞は単純写真と胃管の所見で疑えます。確認した資料に、胃内視鏡を最初の評価に挙げた記載はありません。
d.上部消化管造影。誤り(順序)。胆汁性嘔吐では腸回転異常と中腸軸捻転を急いで除外する必要があり、緊急の精査が必要になることはあります。しかし最初に行うのは胃内容の減圧で、誤嚥の危険を下げてから進めます。
e.経鼻胃管の挿入。正しい。持続吸引で減圧し、嘔吐による誤嚥性肺炎と膨満の悪化を防ぎます。胆汁を含む大量の胃内容が引ければ、上部消化管閉塞を支持する所見にもなります。
覚えるポイント
新生児の胆汁性嘔吐は緊急。double bubbleなら十二指腸閉鎖などを考え、まず経鼻胃管で減圧し、輸液と外科紹介へ。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Overview of Congenital Gastrointestinal Anomalies
- Malrotation of the Bowel
- Down Syndrome (Trisomy 21)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。