第104回医師国家試験 E18(2010年)
正答:c・d
問題
左慢性穿孔性中耳炎患者の左右の鼓膜写真(別冊No. 1)を別に示す。
正しい組合せはどれか。2つ選べ。
a.①――鼓膜弛緩部
b.②――ツチ骨頭
c.③――光錐
d.④――キヌタ骨長脚
e.⑤――前庭窓

正答の理由
左の写真は穿孔のない鼓膜で、光錐が向かって右下にあるので右耳です。右の写真は穿孔があり中耳腔が見える耳で、設問の患側(左耳)にあたります。③は鼓膜の臍から前下方へ広がる反射で光錐、④は穿孔の上部に見える耳小骨の一部でキヌタ骨長脚にあたり、公式正答はc・dです。①は緊張部、⑤は蝸牛窓(正円窓)の陥凹の位置です。図に構造名の注記はなく、位置の同定は本解説の読影です。
画像の見方
左写真: 中央の白い臍から上方へツチ骨柄の走行が透見され、①は臍の下方の広い部分、②は鼓膜の上部で柄の近く、③は臍の右方の光の反射上。右写真: 大きな穿孔から中耳腔が見え、④は穿孔の上部で右へ細い構造が続く耳小骨部、⑤は下方の暗い陥凹の縁。
各選択肢の検討
a.①――鼓膜弛緩部。誤り。弛緩部はツチ骨隆起より上の小さな部分です。①は臍の下方に広がる鼓膜の大部分で、緊張部にあたります。
b.②――ツチ骨頭。誤り。鼓膜に付着するのはツチ骨の柄で、ツチ骨頭は上鼓室でキヌタ骨体と関節をつくる部分です。②は鼓膜の上部で柄の近くに付いた番号で、骨頭を示す位置とは読めません。
c.③――光錐。正しい。鼓膜の陥凹によって、臍から前下象限へ三角形の光の反射が見えます。③はこの位置にあります。
d.④――キヌタ骨長脚。正しい。キヌタ骨長脚は鼓膜の後上部の内側を下行してアブミ骨へつながるため、この部位まで穿孔が及ぶと直接見えます。慢性中耳炎では壊死を起こして伝音難聴の原因にもなります。
e.⑤――前庭窓。誤り。前庭窓(卵円窓)はアブミ骨底板が入る窓で、④の奥に続く位置にあります。⑤はそれより下方の陥凹で、鼓室階の終わりにあたる蝸牛窓(正円窓)の窩と読めます。
覚えるポイント
正常鼓膜は臍・ツチ骨柄・光錐(前下)、穿孔耳はキヌタ骨長脚と正円窓窩を位置で見分ける。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- HEINE compendium of otoscopy
- Otolaryngologic Disorders
- 14.1 Sensory Perception – Anatomy and Physiology 2e | OpenStax
- Morphometric evaluation of middle ear anatomical structures using full volume (12 × 9) CBCT scans: A retrospective study in Navi Mumbai
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。