日本の医療保険制度の変遷|第104回医師国家試験E2

第104回医師国家試験 E2(2010年)

正答:e

問題

我が国の医療保険制度の変遷で正しいのはどれか。

a.健康保険法の制定によって国民皆保険が実現した。

b.国民健康保険法の制定によって被用者保険が始まった。

c.老人医療費無料化は医療保険給付割合を10割にして実現した。

d.老人保健法の制定によって75歳以上の者の医療保険が始まった。

e.高齢者の医療の確保に関する法律〈高齢者医療確保法〉は老人医療費負担の世代間格差是正を目指した。

正答の理由

公式正答はeです。2008年4月施行の高齢者医療確保法のもとで後期高齢者医療制度が始まり、給付費を公費約5割・現役世代の支援金約4割・高齢者の保険料約1割と定めて、現役世代と高齢者の負担ルールを明確化しました。法第1条に「世代間格差是正」の語そのものはなく、制度の狙いを要約した表現と理解します。

各選択肢の検討

a.健康保険法の制定によって国民皆保険が実現した。誤り。健康保険法は1922年の制定で、当初の対象は工場・鉱山などの労働者でした。国民皆保険の達成は1961年です。

b.国民健康保険法の制定によって被用者保険が始まった。誤り。被用者保険の始まりは1922年の健康保険法です。1938年の国民健康保険法は、それ以外の地域住民、特に農村部などを対象に整備されました。

c.老人医療費無料化は医療保険給付割合を10割にして実現した。誤り。1973年の無料化は老人福祉法改正による老人医療費支給制度で行われ、70歳以上が医療保険で受診した際の自己負担を対象にしました。医療保険の給付率そのものを10割にしたのではありません。

d.老人保健法の制定によって75歳以上の者の医療保険が始まった。誤り。1982年制定の老人保健法は、原則70歳以上と一定の障害がある65歳以上を対象に、老人医療費支給制度を廃止して一部負担を導入しました。75歳以上を対象とする独立制度は2008年の後期高齢者医療制度です。

e.高齢者の医療の確保に関する法律〈高齢者医療確保法〉は老人医療費負担の世代間格差是正を目指した。正しい。白書は、老人保健制度では現役世代と高齢世代の費用負担関係が不明確だったことを課題に挙げ、後期高齢者医療制度でその負担のルールを明確化したと説明しています。

覚えるポイント

健康保険法1922年、国民健康保険法1938年、皆保険1961年、老人医療費無料化1973年、老人保健法1982年、後期高齢者医療2008年。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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