第104回医師国家試験 D58(2010年)
正答:d
問題
38歳の女性。言動の変化を心配した夫に伴われて来院した。1年前に、特にきっかけもなく元気がなくなり2か月ほど寝込むことがあったが、特に治療も受けずに回復した。1か月前から口数が多くなり、易刺激的で怒りやすく、活動的となった。町へ出て大量に衣服を購入し、夜も眠らずインターネット販売に手を出して高額の買い物をするようになった。身体疾患の既往歴と精神作用物質の使用歴とはない。
治療薬として適切なのはどれか。
a.ジアゼパム
b.イミプラミン
c.パロキセチン
d.炭酸リチウム
e.ドネペジル塩酸塩
正答の理由
過去のうつ病エピソードに続き、多弁、易刺激性、活動性の増加、睡眠欲求の減少、浪費を認め、身体疾患と物質使用も否定されています。双極性障害の躁状態と考え、気分安定薬の炭酸リチウムを選びます。現在の第一選択にはバルプロ酸や第二世代抗精神病薬も含まれ、症状が重い場合は即効性のある薬を併用します。公式正答はdです。
各選択肢の検討
a.ジアゼパム。誤り。ベンゾジアゼピン系は急性躁状態で鎮静の補助に併用することはありますが、双極性障害そのものの治療の中心ではありません。
b.イミプラミン。誤り。三環系抗うつ薬は双極性障害の増悪を誘発しうる薬で、躁状態の治療には用いません。
c.パロキセチン。誤り。SSRIは双極性うつ病でも単独療法は勧められず、躁状態の治療薬ではありません。
d.炭酸リチウム。正しい。急性躁病の第一選択の一つである気分安定薬です。効果発現に4〜10日かかり、腎障害などの禁忌も確認します。
e.ドネペジル塩酸塩。誤り。コリンエステラーゼ阻害薬でAlzheimer病に用いる薬です。本例の気分エピソードの治療にはなりません。
覚えるポイント
うつ病相の既往+躁状態は双極性障害。気分安定薬を使い、抗うつ薬単独は避ける。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。