熱傷瘢痕に生じたMarjolin潰瘍|第104回医師国家試験D56

第104回医師国家試験 D56(2010年)

正答:a

問題

68歳の女性。右下肢の潰瘍を主訴に来院した。60年前から右下肢に熱傷後の瘢痕があり、8か月前から同部が潰瘍化してきた。右膝窩の写真(別冊No. 20)を別に示す。

治療として適切なのはどれか。

a.外科的切除

b.紫外線療法

c.血行再建手術

d.肉芽形成促進薬外用

e.腰部交感神経節ブロック

別冊No.20 右膝窩の写真。瘢痕の中に、壊死と出血を伴う大きな不整形の潰瘍と隆起がみられる。
別冊No.20 / 出典:厚生労働省・第104回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

長年の熱傷瘢痕に生じた難治性潰瘍で、写真では大きな不整形の潰瘍と隆起性の増殖を認めます。Marjolin潰瘍(瘢痕癌)を考え、多くは扁平上皮癌です。瘢痕に生じた癌は通常の皮膚扁平上皮癌より転移しやすく、予後が悪い傾向があります。実際の診療では切除前に生検で組織を確認し、リンパ節も評価します。公式正答はaです。

画像の見方

色素沈着を伴う瘢痕の中に、壊死を伴う大きな不整形の潰瘍と隆起性の増殖を認める。

各選択肢の検討

a.外科的切除。正しい。熱傷瘢痕癌の治療の中心で、確立した標準手順はありませんが、正常組織を十分につけた広範囲切除と再建が一般に行われます。部位によっては切断も考えます。

b.紫外線療法。誤り。瘢痕癌の治療にはならず、紫外線は補助的な発癌因子の一つと考えられています。

c.血行再建手術。誤り。末梢動脈疾患などの虚血性病変に行う治療です。本例に虚血を示す所見の記載はなく、腫瘍も取り除けません。

d.肉芽形成促進薬外用。誤り。悪性腫瘍が疑われる潰瘍を創傷治癒の対象として扱うと、診断と切除が遅れます。

e.腰部交感神経節ブロック。誤り。交感神経節ブロックは遠位の動脈閉塞による高度の虚血性疼痛で、大手術が難しい例に検討される処置で、腫瘍の局所制御にはなりません。

覚えるポイント

古い熱傷瘢痕に生じる難治性潰瘍はMarjolin潰瘍(多くは扁平上皮癌)。生検し広範囲切除する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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