虚血性大腸炎の初期対応|第104回医師国家試験D21

第104回医師国家試験 D21(2010年)

正答:a

問題

65歳の女性。下腹部痛と下血とを主訴に来院した。今朝、突然の強い左下腹部痛があり、その後、4回の下血を認めた。体温37.2℃。血圧150/84 mmHg。左下腹部に圧痛を認める。筋性防御を認めない。下行結腸の内視鏡写真(別冊No. 3)を別に示す。

対応として適切なのはどれか。

a.経過観察

b.副腎皮質ステロイド投与

c.免疫抑制薬投与

d.抗癌化学療法

e.腹腔鏡手術

別冊No.3 下行結腸の内視鏡写真。粘膜の発赤と斑状の出血がみられる。
別冊No.3 / 出典:厚生労働省・第104回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

高齢者の突然の左下腹部痛に続く下血、下行結腸の粘膜発赤と出血、筋性防御なしから、一過性型の虚血性大腸炎を考えます。治療は補液や腸管安静などの支持療法が中心で、手術は全層壊死などに限られます。公式正答はaです。ここでの「経過観察」は放置ではなく、侵襲的治療をせず支持療法を行いながら悪化を監視する意味で理解します。

画像の見方

下行結腸の粘膜に発赤と斑状の出血を認める。腫瘤は指摘できない。

各選択肢の検討

a.経過観察。正しい。公式正答。多くは支持療法で改善するため、腹膜刺激症状がなければ保存的に経過をみます。MSDは支持療法として補液、腸管安静、抗菌薬を挙げており、何もしないという意味ではありません。

b.副腎皮質ステロイド投与。誤り。ステロイドは炎症性腸疾患の増悪で考える治療です。本例は高齢で急性発症の血流障害を考える経過で、ステロイドで血流障害は改善しません。

c.免疫抑制薬投与。誤り。免疫抑制薬は難治性の炎症性腸疾患などで検討する薬です。一過性の虚血に対する適応はありません。

d.抗癌化学療法。誤り。内視鏡像は発赤と粘膜出血で、腫瘤を示す記載も所見もありません。腫瘍の治療を選ぶ根拠がありません。

e.腹腔鏡手術。誤り。手術が必要なのは全層壊死や血管手術の合併例などに限られます。本例は筋性防御がなく、緊急手術の適応を示しません。

覚えるポイント

突然の左下腹部痛→下血の高齢者は虚血性大腸炎を考え、腹膜刺激症状がなければ保存的にみる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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