第104回医師国家試験 C23(2010年)
正答:b
問題
71歳の女性。心窩部痛と嘔気とを主訴に夫に伴われて来院した。心窩部痛は半年前から時々出現し、その都度、市販の胃薬を服用して対処してきた。今朝から嘔気と冷汗とが加わった。既往歴に変形性膝関節症があり、市販の鎮痛薬を服用している。
緊急性を示唆する病歴情報はどれか。
a.嘔気
b.冷汗
c.心窩部痛
d.変形性膝関節症
e.複数の市販薬の服用
正答の理由
半年来の症状に今朝から冷汗が加わった点が変化です。発汗は腹痛患者でショックの徴候の一つで、低灌流や失血、重篤な病態を疑わせます。心窩部痛の背景には消化性潰瘍の穿孔・出血のほか、心筋梗塞など腹部外の疾患も含まれます。公式正答はbです。
各選択肢の検討
a.嘔気。誤り。胃腸炎や薬剤など多くの原因で起こる非特異的症状で、それだけでは緊急性を示しません。
b.冷汗。正しい。腹痛で蒼白や発汗を伴う患者は重篤な疾患の可能性が高いとされます。バイタルと末梢循環をすぐ確認します。
c.心窩部痛。誤り。主訴として評価は必要ですが、半年前から繰り返す痛み自体は、消化性潰瘍の典型的な訴えでもあり緊急性を区別しません。
d.変形性膝関節症。誤り。慢性の運動器疾患で、それ自体は急を要しません。鎮痛薬を使う理由として聴取する意味があります。
e.複数の市販薬の服用。誤り。市販鎮痛薬がNSAIDなら潰瘍の原因として重要で、原因推定に役立ちます。ただし長期の背景情報で、今の切迫度を直接は示しません。
覚えるポイント
腹痛では新たな冷汗をショックの徴候として重視し、まずバイタルと末梢循環を確認する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Acute Abdominal Pain – MSD Manual Professional Edition
- Peptic Ulcer Disease – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。