認知症が疑われる高齢者の家族相談|第104回医師国家試験B47

第104回医師国家試験 B47(2010年)

正答:a

問題

55歳の女性。高血圧管理のための定期診察で来院した。診察後、「同居している80歳の義母の物忘れがひどくなり、日中のパートの仕事に安心して出かけられなくなりました。この状況を改善するために、よい助言はありませんか」と相談を受けた。3か月前に、義母がコンロの火を消し忘れたことがあって以来、台所仕事をさせないようにしている。最近では「今日の日付がわからない」、「財布をどこに置いたかわからない」と訴えることが増えているという。

相談者に対する対応として適切でないのはどれか。

a.「療養病床を持つ医療機関を紹介します」

b.「認知症の専門医に相談してからお返事します」

c.「お義母さんの日中の見守りを頼める人を探してください」

d.「介護保険の要介護認定が受けられる状態か診察しましょう」

e.「地域包括支援センターで生活機能評価を受けさせてください」

正答の理由

義母は物忘れと見当識の低下が疑われる段階で、診断も介護度の評価もまだです。必要なのは診断、安全の確保、介護保険や地域の相談先への橋渡しで、長期療養を目的とする病床への入院を最初に勧める段階ではありません。公式正答はaです。eの「生活機能評価」は2010年当時の介護予防事業の用語で、その後の介護保険法改正で介護予防の仕組みは変わっています。

各選択肢の検討

a.「療養病床を持つ医療機関を紹介します」。正答(適切でない)。療養病床は主として長期の療養を必要とする患者のための病床です。診断も医療の必要度も未評価で、家族の困りごとは日中の見守りなので、入院先の紹介から入るのは順序が逆です。

b.「認知症の専門医に相談してからお返事します」。誤答(適切な対応)。認知症の診断は臨床評価が中心で、治療可能な原因の除外も必要です。その場で断定せず専門医につなぐのは妥当です。

c.「お義母さんの日中の見守りを頼める人を探してください」。誤答(適切な対応)。火の消し忘れがあり、日中独りでいる間の安全確保が目の前の課題です。認知症の管理では患者の安全と介護者への支援が中心になります。

d.「介護保険の要介護認定が受けられる状態か診察しましょう」。誤答(適切な対応)。要介護認定は認定調査と主治医意見書をもとに判定されるので、本人を診察して状態を把握することが制度利用の入口になります。

e.「地域包括支援センターで生活機能評価を受けさせてください」。誤答(当時の制度で適切な対応)。当時の資料では、生活機能評価は市町村が実施する介護予防の入口で、地域包括支援センターはその後の介護予防ケアマネジメントを担います。評価の実施機関としては厳密な言い方ではありませんが、高齢者の相談先につないで評価を勧める助言は、療養病床の紹介と違って今の段階に合います。

覚えるポイント

物忘れの相談では、まず診断と安全確保、介護保険や地域包括支援センターへの橋渡しを考える。療養病床は長期療養が必要な患者のための病床。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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