第104回医師国家試験 B46(2010年)
正答:c
問題
8歳の男児。本日、右上腕骨顆上骨折で入院した。直達牽引を行っていたが、夜間に激しい疼痛を訴えた。右前腕は水疱形成を伴って腫脹し、手指は蒼白で、前腕と手とに錯感覚と運動麻痺とを認める。
対応として適切なのはどれか。
a.前腕部の冷却
b.骨折の徒手整復
c.前腕部の筋膜切開
d.手指自動運動の奨励
e.非ステロイド性抗炎症薬投与
正答の理由
激しい疼痛に腫脹、蒼白、錯感覚、運動麻痺が加わっており、前腕の急性コンパートメント症候群を考えます。顆上骨折の早期合併症で、遅れるとVolkmann拘縮などの後遺症につながります。まず圧迫する包帯や副子を除去しますが、圧が速やかに下がらず症状が改善しなければ緊急筋膜切開が必要です。蒼白や脈拍消失が出る前に治療を始めるべきとされ、蒼白と麻痺がある本例は減圧を急ぐ段階です。
各選択肢の検討
a.前腕部の冷却。誤り。確認した資料の初期対応に冷却は挙げられておらず、閉鎖された筋区画の内圧を下げる処置でもありません。
b.骨折の徒手整復。誤り(本例の第一選択としては)。血流障害を伴う顆上骨折では閉鎖整復で脈拍と血流が戻ることも多いのですが、本例で必要なのは筋区画の内圧を下げることで、整復だけではこれが確実に解除されません。
c.前腕部の筋膜切開。正しい(正答)。大きな皮膚切開で筋膜を開放して内圧を下げ、血流を回復させる根本治療です。壊死した筋は確認してデブリドマンします。
d.手指自動運動の奨励。誤り。運動麻痺が出ている時点で勧める意味がなく、筋区画の内圧を下げる処置でもありません。
e.非ステロイド性抗炎症薬投与。誤り。鎮痛は初期対応の一つですが内圧は下げません。鎮痛だけで経過をみると減圧が遅れます。
覚えるポイント
骨折後の異常に強い痛み+5P(疼痛、錯感覚、麻痺、蒼白、脈拍消失)→圧迫を除去し緊急筋膜切開。蒼白や脈拍消失を待たずに診断する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Compartment Syndrome – MSD Manual Professional Edition
- Modern Treatment of Supracondylar Humeral Fractures in Children (Surd ほか)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。