第104回医師国家試験 A60(2010年)
正答:d
問題
原発性アルドステロン症で正しいのはどれか。
a.男性に多い。
b.α遮断薬が有効である。
c.高カリウム血症を呈する。
d.ACTHの日内変動は保たれる。
e.対側副腎の機能は抑制される。
f.超音波検査で偶然発見される。
g.術後に副腎皮質ステロイドを補充する。
正答の理由
原発性アルドステロン症は副腎皮質からのアルドステロンの自律的な過剰分泌で、レニンが抑制されます。コルチゾール過剰の病態ではないのでACTHの分泌は通常抑制されず、本症の血漿アルドステロンにはACTHの変化を反映した日内リズムがみられるとされます。そのため公式正答はdで、Cushing症候群の副腎腺腫との対比が設問の核心です。ただし、コルチゾールを同時に産生する例ではACTHが抑制されることがあります。また、肢eの「機能」をアルドステロン分泌に限ると、対側副腎の機能低下が術後の低アルドステロン症につながります。
各選択肢の検討
a.男性に多い。誤り(公式上)。MSDは過形成が高齢男性に多いと記載していますが、本症全体で男性に多いという記載は今回の資料にありません。読んだ症例対照研究の症例は腺腫42例中女性22例、特発性68例中女性42例でした。ただし、これは有病率の調査ではないので、性差の結論には使えません。
b.α遮断薬が有効である。誤り。治療の中心は片側病変の切除や抗アルドステロン薬(スピロノラクトンなど)です。α遮断薬は褐色細胞腫の術前管理で要となる薬です。
c.高カリウム血症を呈する。誤り。アルドステロンは尿細管でのK排泄を促進するので低カリウム血症を呈します。ただし、K正常の例も増えています。
d.ACTHの日内変動は保たれる。正しい。アルドステロンが過剰な病態で、コルチゾール過剰によるACTH抑制は通常ありません。本症のアルドステロンの日内リズムはACTHの変化に連動するとされます。
e.対側副腎の機能は抑制される。誤り(公式上)。Cushing症候群の腺腫と違い、コルチゾール分泌能は通常抑制されません。ただし、レニン-アンジオテンシン系の抑制と対側副腎の機能低下により、術後に一過性の低アルドステロン症が起こることはあります。
f.超音波検査で偶然発見される。誤り。高血圧と低カリウム血症の精査やスクリーニングで見つかることが多く、腺腫が小さいことも多いので画像は感度が高くありません。
g.術後に副腎皮質ステロイドを補充する。誤り。通常はコルチゾール分泌が保たれるので、一律の補充は要しません。術後に主に問題になるのは低アルドステロンによる高カリウム血症です。コルチゾールを同時に産生する例では、一時的な補充を要することがあります。
覚えるポイント
原発性アルドステロン症は低K・低レニンが特徴で、通常はACTH-コルチゾール系が保たれる点がCushing腺腫と異なる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Primary Aldosteronism
- Role of ACTH and Other Hormones in the Regulation of Aldosterone Production in Primary Aldosteronism
- Perioperative management of patients with primary aldosteronism: a practical approach for the endocrinologist
- Sex-specific Association of Primary Aldosteronism With Visceral Adiposity
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。