第104回医師国家試験 A58(2010年)
正答:e
問題
68歳の男性。就寝中の行動を心配した妻に伴われて来院した。週に数回、就寝後1時間半ほどすると大声をあげ、むっくと起き上がって何かと戦っているような行動をするようになった。妻が制止すると我に返り「夢を見ていた」と言い、再び就寝し翌朝には夢の中でのことだったと記憶している。日中の行動異常は全くない。身体的には体が固く、動作が遅くなったといい、物忘れを自覚している。身長168 cm、体重60 kg。四肢に筋固縮を認める。Mini-Mental State Examination〈MMSE〉では21点(満点30)。血液所見、血液生化学所見、脳波および頭部単純MRIに異常を認めない。
この患者の睡眠障害はどれか。
a.夜驚症
b.夜間せん妄
c.夢中遊行症
d.側頭葉てんかん
e.レム〈REM〉睡眠行動障害
正答の理由
夢の内容に合わせて大声を出して戦うように動き、制止するとすぐ我に返って夢を覚えており、レム睡眠の筋緊張の消失がないために夢を行動化するレム睡眠行動障害に合致します。公式正答はeです。筋固縮、動作緩慢、認知機能低下は、本障害と関連するParkinson病やLewy小体型認知症などのシヌクレイン病の存在を考える手がかりです。確定には睡眠ポリグラフ検査が役立ちます。
各選択肢の検討
a.夜驚症。誤り。深いノンレム睡眠(N3)から起こり、小児に多く、起こしにくく、夢として内容を覚えていないのが典型です。
b.夜間せん妄。誤り。注意と意識の変動を伴う状態で、はっきり我に返って夢を想起するという経過や、日中に異常がないという経過とは異なります。
c.夢中遊行症。誤り。ノンレム睡眠から起こり、通常は夢を想起せず、行動も覚えていません。
d.側頭葉てんかん。誤り。発作には意識減損や自動症を伴い、夢の想起と夢に一致する行動の説明になりません。本症例の脳波にも異常はありません。
e.レム〈REM〉睡眠行動障害。正しい。高齢者に多く、鮮明な夢を行動化します。パーキンソニズムや認知機能低下の併存は神経変性疾患を示唆します。
覚えるポイント
夢を行動化し想起できる高齢者はレム睡眠行動障害を考え、シヌクレイン病の合併を確認する。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。