第104回医師国家試験 A57(2010年)
正答:c
問題
1か月の乳児。項部の紅斑を主訴に来院した。在胎39週3日、正常頭位分娩で出生した。身長52 cm、体重3,900 g。紅斑は出生時から認めていた。活気があり哺乳も良好である。項部の写真(別冊No. 24)を別に示す。
母親への説明として適切なのはどれか。
a.「苺状に隆起します」
b.「レーザー療法を行います」
c.「ほとんどが自然に消えます」
d.「新生児の10%にみられます」
e.「出血しやすいので注意しましょう」

正答の理由
出生時からある項部正中の扁平な紅斑で、全身状態は良好です。項部の単純性母斑(正中部母斑、Unna母斑、stork bite)と考えます。公式正答はcです。ただし、現行の資料との間に差があり、注意が必要です。DermNetによると、単純性母斑は多くの部位では生後1〜2年で薄れて消えますが、項部は消退が遅く不完全で、約50%は持続するとされます。したがって公式正答を単純性母斑全般の良好な経過の説明として学び、母親には項部では残ることもあり、残っても通常は問題にならないと説明するのが正確です。
画像の見方
項部の生え際の正中付近に左右へ広がる扁平な紅斑があり、隆起や腫瘤は明らかでない。
各選択肢の検討
a.「苺状に隆起します」。誤り。隆起して増大するのは乳児血管腫の特徴で、本症例の扁平な紅斑の経過とは異なります。
b.「レーザー療法を行います」。誤り。良性で項部は毛髪に隠れることも多いので、通常は治療を要しません。持続する病変の希望例でレーザーを検討することはあります。
c.「ほとんどが自然に消えます」。公式正答。単純性母斑は自然に薄れることが多い病変です。ただし、項部は約50%で持続するという資料があるので、項部に限ると表現には留保が必要です。
d.「新生児の10%にみられます」。誤り。単純性母斑はよくある病変で、白人の乳児では約40%とする記載があります。10%は過小です(人種により頻度は異なります)。
e.「出血しやすいので注意しましょう」。誤り。皮膚表面の毛細血管奇形で通常は痛みも問題もなく、出血しやすい病変として注意を促す必要はありません。
覚えるポイント
項部の扁平な紅斑はUnna母斑で治療不要が基本。自然消退の説明は公式正答だが、項部では持続も多い。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。