Wernicke脳症の治療|第104回医師国家試験A50

第104回医師国家試験 A50(2010年)

正答:c

問題

52歳の男性。意識障害で搬入された。2年前に離婚し、一人暮らし。離婚後、飲酒量が増え、毎晩日本酒8合を飲んでいた。久しぶりに妹が訪ねていくと、意識が混濁していたため、救急車を要請した。体温36.2℃。脈拍104/分、整。血圧130/70 mmHg。両下腿に浮腫を認める。意識レベルはJCS I-3。項部硬直を認めない。両眼の外転障害と注視方向性の水平眼振とを認める。歩行は失調性、腱反射は両下肢で低下している。

治療として適切なのはどれか。

a.血漿交換

b.ブドウ糖液静注

c.ビタミンB₁静注

d.免疫グロブリン大量静注療法

e.副腎皮質ステロイドのパルス療法

正答の理由

多量飲酒者の意識障害に眼球運動障害、眼振、失調性歩行があり、Wernicke脳症を考えます。診断は主に臨床的で、血液検査を待たずにチアミン(ビタミンB₁)を直ちに非経口投与します。公式正答はcです。下腿浮腫や腱反射低下もビタミンB₁欠乏を裏づける所見として矛盾しません。

各選択肢の検討

a.血漿交換。誤り。抗体や病因物質を除去する治療で、栄養欠乏によるこの病態には適応がありません。

b.ブドウ糖液静注。誤り。チアミン欠乏のある患者への糖負荷はWernicke脳症を誘発・増悪させる可能性があります。低血糖があれば補正は必要ですが、チアミンの投与を遅らせないことが重要です。

c.ビタミンB₁静注。正しい。チアミン100 mgの静注または筋注を直ちに開始し、適切な期間続けます。眼症状は早期投与で通常24時間以内に改善し始めます。

d.免疫グロブリン大量静注療法。誤り。自己免疫性の神経疾患の治療で、Guillain-Barré症候群などに用いますが、本症例の原因治療にはなりません。

e.副腎皮質ステロイドのパルス療法。誤り。炎症性疾患に用いる治療で、チアミン欠乏を補えず、治療開始を遅らせる危険があります。

覚えるポイント

飲酒者の意識障害・眼球運動障害・失調はWernicke脳症を考え、糖より先にビタミンB₁を非経口投与する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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