第104回医師国家試験 A41(2010年)
正答:b
問題
36歳の男性。手指のふるえを主訴に来院した。数年前から書字の際に手がふるえることに気付いた。特に緊張時に悪化する。ふるえのため、食事の時にお椀の味噌汁をこぼすこともあった。ふるえは飲酒時に軽減する。歩行障害や安静時の振戦は認めない。
治療薬として適切なのはどれか。
a.L-dopa
b.β遮断薬
c.抗コリン薬
d.副腎皮質ステロイド
e.アマンタジン塩酸塩
正答の理由
書字や食器を持つ動作で出る動作時振戦が数年続き、緊張で増悪し飲酒で軽減し、安静時振戦も歩行障害もないため、本態性振戦と考えます。治療はプロプラノロールなどのβ遮断薬またはプリミドンが基本で、公式正答はbです。少量の飲酒で軽くなる患者がいることは病歴上の手がかりになりますが、治療として飲酒を勧めるわけではありません。
各選択肢の検討
a.L-dopa。誤り。レボドパはParkinson病の安静時振戦に用いる第一選択で、安静時振戦やパーキンソニズムのない本態性振戦の標準治療ではありません。
b.β遮断薬。正しい。プロプラノロールなどのβ遮断薬はプリミドンと並ぶ本態性振戦の基本薬です。喘息など禁忌の有無は投与前に確認します。
c.抗コリン薬。誤り。Parkinson病の振戦で限られた場面に検討される薬で、本態性振戦の治療薬ではありません。集中力低下や口渇などの副作用も問題です。
d.副腎皮質ステロイド。誤り。炎症や自己免疫を抑える薬で、この慢性の動作時振戦に炎症性病態を示す所見はなく、振戦を改善する根拠もありません。
e.アマンタジン塩酸塩。誤り。Parkinson病の治療に用いられる薬で、パーキンソニズムのない本症例の標準治療には当たりません。
覚えるポイント
動作時振戦で緊張により増悪し飲酒で軽減すれば本態性振戦を考え、β遮断薬かプリミドンを選ぶ。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。