第104回医師国家試験 A38(2010年)
正答:d
問題
35歳の女性。3回経妊、2回経産。月経痛と過多月経とを主訴に来院した。子宮は硬く手拳大に腫大し、付属器は触知しない。CA125 150 U/ml(基準35以下)。骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像(別冊No.17)を別に示す。
診断はどれか。
a.子宮筋腫
b.子宮体癌
c.子宮肉腫
d.子宮腺筋症
e.子宮内膜増殖症

正答の理由
経産婦の月経痛と過多月経、硬く腫大した子宮に加え、T2強調像で子宮に大きな低信号域があり、内部に点状の高信号が多数散在しています。筋層内の異所性内膜を示す所見で、子宮腺筋症に合います。病変は腫瘤様にもみえるので、限局性腺筋症(腺筋腫)と筋腫の鑑別が要点です。公式正答はdです。CA125は腺筋症でも上昇が報告され、子宮内膜症や筋腫などでも上がることがあるので、それだけで悪性を意味しません。
画像の見方
腫大した子宮に腫瘤様の大きな低信号域があり、内部には微小な点状の高信号が多数みられます。高信号の内膜は圧排されて偏位しています。
各選択肢の検討
a.子宮筋腫。誤り。最も重要な鑑別です。筋腫は境界明瞭なことが多く、腺筋腫は境界不明瞭で点状の高信号を伴います。本例は腫瘤様にみえますが、低信号域の中に微小な高信号が多数散在し、腺筋症を支持します。
b.子宮体癌。誤り。多くは閉経後の不正出血で発見され、内膜に病変の主座があります。本例の主な変化は筋層にあります。
c.子宮肉腫。誤り。子宮の悪性腫瘍で、筋腫と思われる腫瘤の急速な増大はこれを疑う手がかりになりますが、本問にその記載はありません。低信号域に点状の高信号が散る本例の像は腺筋症の所見に合います。
d.子宮腺筋症。正しい。接合帯または筋層の低信号の肥厚と、T2強調像での点状高信号が特徴で、月経痛と過多月経にも合います。
e.子宮内膜増殖症。誤り。内膜の増殖性病変で、子宮内膜癌の前段階となることがあるものです。本例の主な変化は内膜ではなく筋層側にあり、硬い手拳大の子宮と広い低信号域は説明できません。
覚えるポイント
月経痛・過多月経と、T2低信号の筋層に散る点状高信号は子宮腺筋症。筋腫は境界明瞭なことが多い点で鑑別する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- MRI for adenomyosis: a pictorial review
- Endometrial Cancer – Oncology – MSD Manual Professional Edition
- Combined magnetic resonance imaging with serum CA125 for dysmenorrhea in adenomyosis
- Ovarian, Fallopian Tube, and Peritoneal Cancer – Oncology – MSD Manual Professional Edition
- Uterine Sarcoma Treatment (PDQ®) – NCI
- Uterine Fibroids – Gynecology and Obstetrics – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。