重症僧帽弁閉鎖不全症の聴診|第104回医師国家試験A25

第104回医師国家試験 A25(2010年)

正答:a・e

問題

62歳の女性。安静時の息切れを主訴に来院した。60歳ころから心雑音を指摘されていたが、放置していた。6か月前から労作時の息切れと動悸とを感じるようになった。脈拍84/分、整。血圧126/74 mmHg。呼吸音に異常を認めない。収縮終期心エコー図(別冊No.7A)と収縮中期カラードプラ心エコー図(別冊No.7B)とを別に示す。

聴診所見はどれか。2つ選べ。

a.Ⅰ音減弱

b.Ⅱ音減弱

c.Ⅱ音の固定性分裂

d.連続性雑音

e.全収縮期雑音

別冊No.7A 収縮終期の心エコー図。心尖部からの断面で、左室、右室、拡大した左房が表示されている。
別冊No.7A / 出典:厚生労働省・第104回A別冊(原本の該当ページ)
別冊No.7B 収縮中期のカラードプラ心エコー図。僧帽弁から左房へ広がるモザイク状の逆流シグナルがある。
別冊No.7B / 出典:厚生労働省・第104回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

心エコーで左房が大きく、収縮中期のカラードプラで左室から左房へ向かうモザイク状の逆流がみられるので、僧帽弁閉鎖不全症です。心尖部の全収縮期雑音が基本の所見で、弁の閉鎖が不完全なのでⅠ音は弱くなり得ます。公式正答はa・eです。ただしⅠ音は常に減弱するわけではなく、時に大きくなることもあり、原因によって異なります。

画像の見方

Aでは収縮終期にもかかわらず左房が大きく拡大しています。Bでは収縮中期に左室から左房へ向かうモザイク状の血流が広がり、僧帽弁逆流を示します。

各選択肢の検討

a.Ⅰ音減弱。正しい。Ⅰ音は主に僧帽弁の閉鎖音で、本症では弱くなることがあります。弁尖の硬化では弱くまたは消失し、粘液腫様変性などでははっきり聴かれることもあります。

b.Ⅱ音減弱。誤り。Ⅱ音は大動脈弁・肺動脈弁の閉鎖音で、その減弱は本症の特徴的な所見ではありません。二次性の肺高血圧が進めば、むしろ肺動脈成分が強まります。

c.Ⅱ音の固定性分裂。誤り。心房中隔欠損症に特徴的で、肺動脈弁の閉鎖が呼吸に関係なく遅れて生じます。

d.連続性雑音。誤り。動脈管開存症のように収縮期・拡張期を通じて短絡が続く病態の所見で、収縮期だけの逆流である本症とは異なります。

e.全収縮期雑音。正しい。収縮期全体で左室圧が左房圧を上回るため逆流が続き、心尖部で最もよく聴かれます。

覚えるポイント

僧帽弁閉鎖不全は心尖部の全収縮期雑音とⅠ音減弱。固定性分裂はASD、連続性雑音はPDA。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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