第103回医師国家試験 H22(2009年)
正答:b
問題
29歳の女性。妊娠34週時に転居のため紹介され来院した。体温36.7℃。脈拍104/分、整。血圧148/94mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球366万、Hb 11.3g/dl、Ht 35%、白血球10,800、血小板19万。血液生化学所見:血糖104mg/dl、HbA1c 5.2%、総蛋白7.2g/dl、アルブミン4.8g/dl、尿素窒素16.6mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、総ビリルビン0.9mg/dl、直接ビリルビン0.2mg/dl、AST 30IU/l、ALT 32IU/l、LD〈LDH〉288IU/l(基準176〜353)、ALP 386IU/l(基準115〜359)、Na 143mEq/l、K 4.0mEq/l、Cl 106mEq/l。
経過観察で注意するのはどれか。
a.脈拍
b.血圧
c.赤血球数
d.白血球数
e.ALP値
正答の理由
妊娠34週で血圧148/94mmHgは、140/90mmHg以上の高血圧の範囲です。この1回の測定で蛋白尿は(-)ですが、妊娠20週以降の高血圧には妊娠高血圧腎症への進行があり、血圧の推移を追う必要があります。赤血球数、白血球数、ALPは妊娠後期の生理的変化の範囲で説明でき、脈拍も目安をやや超える程度です。公式正答はbです。
各選択肢の検討
a.脈拍。妊娠中は心拍出量増加のため軽い頻脈が予想されます。104/分はMSDの目安90/分をやや超えますが、この症例で優先して追う指標は血圧です。
b.血圧。148/94mmHgは高血圧の範囲です。定義上は4時間以上あけた2回の測定で判断するため再測定と推移の観察が要り、試験紙法の陰性だけでは蛋白尿を除外できないので、蛋白尿や臓器障害の出現にも注意します。
c.赤血球数。妊娠中は血漿量の増加が赤血球量の増加を上回り、希釈でHbが下がります。Hb 11.3g/dlもこの変化の範囲と考えられます。
d.白血球数。妊娠中は9,000〜12,000/μL程度へ軽く増えます。10,800はその範囲内です。
e.ALP値。妊娠後期は胎盤由来で上昇し、満期には基準の2〜3倍になることもあります。386IU/lは問題になりません。
覚えるポイント
妊娠後期のALP上昇・白血球増加・希釈性のHb低下は生理的。148/94の血圧は放置せず追う。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Preeclampsia and Eclampsia – MSD Manual Professional Edition
- Physiology of Pregnancy – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。