第103回医師国家試験 G56(2009年)
正答:b・d
問題
3歳9か月の男児。下肢の変形を主訴に来院した。母親の妊娠・出産歴に特記すべきことはない。家族歴に低身長や骨変形はない。生後3か月からアトピー性皮膚炎があり、生後12か月から母親の友人の勧めで、乳製品、卵、大豆および魚を摂取させていない。2歳半ころから下肢の変形と歩行の異常とに気付いていた。身長87 cm、体重13.4 kg。下肢エックス線写真(別冊No.6)を別に示す。
血清で高値が予想されるのはどれか。2つ選べ。
a.燐
b.ALP
c.25-(OH)D3
d.副甲状腺ホルモン
e.クレアチンキナーゼ〈CK〉

正答の理由
乳製品、卵、大豆、魚を長く除去した幼児に、下肢の変形と歩行異常があります。エックス線で両下肢の弯曲があり、栄養性のくる病が考えられます。乳製品などの除去でカルシウム摂取も少なく、資料でもカルシウム摂取不足はくる病の原因に挙げられます。ビタミンD不足で低カルシウムとなると副甲状腺ホルモンが分泌され、腎からのリン排泄が増えて血清リンは下がります。骨の石灰化が障害され、ALPは上がります。公式正答はbdです。資料ではPTHは正常のこともあるとされますが、選択肢の中では上昇が予想されるものに当たります。
画像の見方
股関節から足関節までの両下肢正面像。大腿骨と下腿骨が外側へ凸に弯曲し、両膝の間が大きく開く内反変形を示す。大腿骨遠位と脛骨近位の骨幹端は幅広くみえ、辺縁の不整は原本の解像度では断定しない。骨盤中央の高濃度の卵形陰影は防護具とみられるが、図からは確定しない。
各選択肢の検討
a.燐。誤り。副甲状腺ホルモンの作用で腎からの排泄が増え、血清リンは下がります。
b.ALP。正しい。ビタミンD欠乏では血清ALPが通常上昇します。
c.25-(OH)D3。誤り。体内のビタミンD量を反映する指標で、欠乏では低値になります。
d.副甲状腺ホルモン。正しい。低カルシウム血症が分泌を刺激し、二次性副甲状腺機能亢進を起こします。
e.クレアチンキナーゼ〈CK〉。誤り。主に筋の障害で上がる酵素で、くる病の骨の石灰化障害を反映する検査ではありません。
覚えるポイント
栄養性くる病はALP高値、PTH高値、リン低値、25-(OH)D低値。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。