高齢者の無痛性顎下腫瘤|第103回医師国家試験G49

第103回医師国家試験 G49(2009年)

正答:c・d

問題

65歳の男性。左顎下の腫瘤と息苦しさとを主訴に来院した。1か月前から腫瘤に気付いていたが、痛みがないため放置していた。その後も徐々に大きくなっていた。3日前から息苦しさを感じた。この間、発熱はなかった。身体診察で他の部位に腫瘤を認めない。頸部の写真(別冊No.5)を別に示す。

考えられるのはどれか。2つ選べ。

a.膠原病

b.細菌性感染

c.転移性腫瘍

d.悪性リンパ腫

e.ウイルス性感染

別冊No.5 鼻から頸部までの正面写真。画像の右側(患者の左側)の下顎から顎下にかけて大きく膨隆し、顔の輪郭が左右非対称になっている。
別冊No.5 / 出典:厚生労働省・第103回G別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

高齢者の片側性で無痛性の、徐々に増大する頸部腫瘤で、発熱がなく他部位に腫瘤もありません。MSDは正中でない腫瘤を高齢者でみたら否定されるまで癌と考えるとしており、無痛性リンパ節腫脹は悪性リンパ腫でも典型です。公式正答はcとdです。硬さや可動性は写真だけでは言えず、原発巣の検索と生検で区別します。

画像の見方

患者正面の写真で、画像右側(患者左側)の頬下部から下顎、顎下部にかけて境界のはっきりしない大きな膨隆があり、左右非対称である。皮膚の明らかな潰瘍や自壊は見えず、著明な発赤も読み取りにくい。硬さ、可動性、圧痛、腫瘤の由来臓器は写真からは判定しない。

各選択肢の検討

a.膠原病。誤り。片側の孤立性腫瘤で、関節症状や全身症状の記載がありません。

b.細菌性感染。誤り。疼痛、圧痛、発熱がなく、1か月にわたり徐々に増大する経過とも合いません。

c.転移性腫瘍。正しい。高齢者の正中でない頸部腫瘤の代表で、頭頸部癌などの原発巣を調べます。

d.悪性リンパ腫。正しい。無痛性のリンパ節腫脹で発見されることが多く、大きくなれば周囲を圧迫して息苦しさの原因にもなり得ます。

e.ウイルス性感染。誤り。単核球症などは全身の症状や両側のリンパ節腫脹を伴うことが多く、本例の発熱のない片側性の進行とは合いません。

覚えるポイント

高齢者の無痛性・非正中の頸部腫瘤は悪性(転移、リンパ腫)を否定するまで考える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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