第103回医師国家試験 F25(2009年)
正答:d
問題
20歳の女性。前頸部の腫大を主訴に来院した。半年前から次第に増大する前頸部腫大に気付き、動悸と発汗増加とを自覚した。最近、手指が震えるようになった。意識は清明。身長160cm、体重48kg。体温37.1℃。脈拍112/分、整。血圧134/58mmHg。皮膚は湿潤。手指に振戦を認める。前頸部の写真(別冊No.4)を別に示す。
腫大部位でみられるのはどれか。
a.圧痛
b.表面不整
c.皮膚との癒着
d.嚥下運動に連動
e.硬さは硬軟が混在

正答の理由
公式正答はdです。頻脈、発汗、振戦は甲状腺中毒症の所見で、写真の前頸部には甲状腺の位置に一致した膨隆があります。若年女性で半年かけて増大した経過から、バセドウ病を最も考えます。ただし診断には甲状腺ホルモン、TSH、TRAbなどの検査が必要で、問題文にはこれらがなく確定はしません。甲状腺は嚥下で上下に動くので、診察では飲み込んでもらって観察します。バセドウ病の甲状腺腫はびまん性で軟らかいのが典型です。
画像の見方
別冊No.4:正面から撮影した頸部で、前頸部中央から下部が左右に広がるようになだらかに膨隆している。発赤や皮膚の破綻ははっきりしない。写真が不鮮明で、個々の結節の有無、表面の性状、硬さ、圧痛、皮膚との癒着は写真からは判断できない。
各選択肢の検討
a.圧痛。誤り。圧痛は甲状腺炎でみられる所見です。問題文に頸部痛の訴えはありません。
b.表面不整。誤り。表面不整は結節性の病変で考える所見で、びまん性腫大の典型ではありません。
c.皮膚との癒着。誤り。腫瘍の浸潤などで考える所見で、典型的なバセドウ病の腫大にはみられません。
d.嚥下運動に連動。正しい。甲状腺は嚥下とともに動きます。診察では飲み込む動作で確かめます。
e.硬さは硬軟が混在。誤り。部位により硬さが違うのは結節の存在を考える所見で、びまん性で軟らかい典型像とは異なります。
覚えるポイント
前頸部の腫大が嚥下で動けば甲状腺由来。バセドウ病はびまん性で軟らかく、圧痛がない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- 甲状腺疾患診断ガイドライン(日本甲状腺学会)
- Thyroid Exam(Stanford Medicine 25)
- Hyperthyroidism(MSD Manual Professional Edition)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。