第103回医師国家試験 F24(2009年)
正答:e
問題
60歳の女性。進行肺癌のため入院しているが、終末期の状態で緩和ケアのみが行われている。回診時の医師と患者との会話を以下に示す。
患者 「あと何日くらい生きることができますか」
医師 「これから外来があるので、そのことについてはまた今度…」
この医師の態度はどれか。
a.理解的態度
b.評価的態度
c.解釈的態度
d.調査的態度
e.逃避的態度
正答の理由
公式正答はeです。医師は余命についての切実な問いに答えず、尋ねた背景も聞かず、外来を理由に話題を先送りしています。問いを避けているので逃避的態度です。a〜dはPorterのカウンセラーの態度類型に対応する名称で、看護場面に当てはめた論文は評価的・解釈的・支持的・診断的(probing)・理解的の5類型を定義しています。調査的態度はこのprobingに当たると考えられます。逃避的態度はこの5類型に含まれず、定義を記した一次資料は確認できなかったので、語の意味に基づいて説明します。がん診療のコミュニケーションでは、患者の懸念に応じることや予後を伝えることが目標の一つに挙げられています。その場で十分に話せない場合でも、気持ちを受け止め、改めて話す機会を設けるのが望ましい対応です。
各選択肢の検討
a.理解的態度。誤り。相手の述べた内容や感情を正しく理解していることを示す、または理解が合っているか確かめる態度です。本例の医師は気持ちに触れていません。
b.評価的態度。誤り。発言の善悪や適否について自分の判断を与える態度です。本例の医師は判断を述べていません。
c.解釈的態度。誤り。教える、発言の深い意味を知らせるといった態度です。本例の医師は意味づけを述べていません。
d.調査的態度。誤り。問題をもっと知ろう、話し合おうとして問い返す態度です。本例の医師は尋ね返していません。
e.逃避的態度。正しい。質問に向き合わず、話題を先送りしています。
覚えるポイント
予後の問いを先送りするのは逃避的な応答。まず気持ちを受け止め、話す機会を確保する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Communication in Cancer Care (PDQ®)–Health Professional Version(National Cancer Institute)
- 看護版応答態度診断テストの作成の試み(天野寛・山田ゆかり、Japanese Journal of Applied Psychology、1998年、No.23)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。