鎖骨下静脈穿刺後の呼吸困難|第103回医師国家試験E53

第103回医師国家試験 E53(2009年)

正答:a

問題

68歳の男性。中心静脈栄養管理のため右鎖骨下静脈からカテーテルを挿入した。静脈穿刺が困難で何度か穿刺を行い、最終的にガイドワイヤー及びカテーテル挿入を完了し、血液の逆流も確かめてカテーテルを留置固定した。15分後に呼吸困難を訴え頻呼吸となった。

最も考えられるのはどれか。

a.気胸

b.縦隔気腫

c.胸管損傷

d.肺塞栓症

e.横隔神経損傷

正答の理由

公式正答はaです。鎖骨下静脈穿刺は肺尖に近く、中心静脈路の中でも気胸が多い経路です。英国麻酔科医協会の指針は頻度を0.3〜2.3%、鎖骨下経路で最多とし、原因は針による臓側胸膜の穿通としています。難渋して何度も穿刺した直後の呼吸困難と頻呼吸は、これに最もよく合います。血液の逆流はカテーテルが静脈内にあることを示すだけで、途中の穿刺で胸膜を傷つけていないことの証明にはなりません。現在は超音波ガイドの活用が勧められ、疑えば胸部画像で確認します。

各選択肢の検討

a.気胸。正しい。反復穿刺で臓側胸膜を傷つけた機序に合い、挿入後まもない呼吸困難の第一の鑑別です。

b.縦隔気腫。誤り。穿刺で胸膜を破って生じる気胸に比べると、この経過で最も考える病態ではありません。

c.胸管損傷。誤り。胸管へのガイドワイヤー迷入は左鎖骨下静脈穿刺で記載されている合併症で、本例は右からの穿刺です。

d.肺塞栓症。誤り。血栓による肺塞栓は遅発性の合併症に分類されます。挿入操作に関連する急性の空気塞栓は別に重要ですが、反復穿刺という手がかりからは気胸を優先します。

e.横隔神経損傷。誤り。指針も挿入時の神経損傷はまれとしています。反復穿刺と急な頻呼吸を最もよく説明するのは気胸です。

覚えるポイント

鎖骨下穿刺を繰り返した後の呼吸困難はまず気胸。逆流確認は気胸の否定にならない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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