第103回医師国家試験 E47(2009年)
正答:b
問題
52歳の男性。易疲労感と食思不振とを主訴に来院した。自動車用バッテリーの解体・再生作業に従事している。身長163 cm、体重51 kg。血圧142/86 mmHg。眼瞼結膜は蒼白。胸腹部に異常を認めない。便潜血(-)。血液所見:赤血球370万、Hb9.8 g/dl、Ht29 %、網赤血球0.7 %、白血球7,500。上部消化管造影で異常を認めない。
診断に有用な測定項目はどれか。
a.毛髪中ヒ素
b.血液中鉛
c.血液中水銀
d.尿中マンガン
e.尿中カドミウム
正答の理由
自動車用の鉛蓄電池を解体・再生する作業は鉛の職業曝露の代表です。消化管出血を示す所見がなく、網赤血球の増加もない貧血に、易疲労感と食思不振が加わっており、鉛中毒を考えます。曝露の評価は血液中の鉛の測定が基本で、鉛中毒予防規則の健康診断にも血液中の鉛の量の検査があります。公式正答はbです。
各選択肢の検討
a.毛髪中ヒ素。誤り。慢性ヒ素中毒は皮膚病変が特徴で、本例の職歴や所見に合いません。
b.血液中鉛。正しい。鉛蓄電池の作業歴と貧血から、血中鉛濃度を測って確かめます。
c.血液中水銀。誤り。水銀の健康障害は腎や神経などが中心で、本例に水銀の曝露歴はありません。
d.尿中マンガン。誤り。マンガンを扱う作業歴がなく、測る根拠がありません。
e.尿中カドミウム。誤り。カドミウムを扱う作業歴がなく、まず測る項目ではありません。
覚えるポイント
バッテリーの解体・再生作業と貧血を見たら鉛中毒。血中鉛を測る。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Lead poisoning – WHO Fact Sheet
- 鉛中毒予防規則(e-Gov法令API)
- Evaluation, diagnosis, and treatment of lead poisoning in a patient with occupational lead exposure: a case presentation
- Occupational Lead Poisoning in a Patient with Acute Abdomen and Normocytic Anemia
- Arsenic – WHO Fact Sheet
- Mercury and health – WHO Fact Sheet
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。