第103回医師国家試験 E17(2009年)
正答:e
問題
医学統計で誤っているのはどれか。
a.率の算出では分子は分母に含まれる。
b.比の算出では分子と分母とは独立である。
c.率の算出には時間的な概念が入ることがある。
d.比の算出には時間的な概念が入ることがある。
e.率と比は同じ意味で使用できる。
正答の理由
比は二つの量を割って比べる指標で、分子と分母は別の集団でも異なる単位でもかまいません。率は分母の集団のうち分子に該当する割合や、一定期間内の発生頻度を表します。両者は作り方も意味も異なるので、同じ意味では使えません。公式正答はeです。
各選択肢の検討
a.率の算出では分子は分母に含まれる。正しい記述。全体に対する部分を表す指標では、分子が分母の内数です(CDCの用語ではproportion)。
b.比の算出では分子と分母とは独立である。正しい記述。比の分子と分母は関連がなくてもよく、男女比や人口当たり診療所数のように別々の量を比べられます。ここでの「独立」は、分子が分母の内数でなくてよいという意味に読むもので、統計学的な独立とは別です。
c.率の算出には時間的な概念が入ることがある。正しい記述。疫学の率は特定の期間における発生頻度で、時間が組み込まれます。
d.比の算出には時間的な概念が入ることがある。正しい記述。一定期間の死亡数と新規患者数の比や、率どうしの比(率比)がその例です。
e.率と比は同じ意味で使用できる。誤りの記述で、これが正答。比は分子が分母に含まれなくても成り立つのに対し、率は集団と期間に結びつく指標です。
覚えるポイント
比は別々の量の比較、割合は分子が分母の一部、率は集団と期間に基づく発生頻度。混同しない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- CDC Principles of Epidemiology in Public Health Practice, Lesson 3: Measures of Risk, Section 1: Frequency Measures
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。