第103回医師国家試験 E5(2009年)
正答:c・d
問題
組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
a.ヒ素 ―― 心筋障害
b.有機リン ―― 散瞳
c.パラコート ―― 肺障害
d.カドミウム ―― 腎障害
e.エタノール ―― 視神経障害
正答の理由
パラコートは肺・肝・腎などに化学反応を起こし、特に肺の線維化(瘢痕化)が予後を左右します。カドミウムの代表的な標的は腎で、骨障害も伴います。一方、有機リンでは縮瞳、視神経障害の代表はメタノールです。ヒ素は心血管障害も起こしますが、代表的な慢性所見は皮膚病変と末梢神経障害です。公式正答はcdです。
各選択肢の検討
a.ヒ素 ―― 心筋障害。公式正答には含まれません。ただしヒ素中毒の心症状として心筋症、QT延長、うっ血性心不全の記載があり、組合せ自体を医学的に誤りとは言い切れません。慢性曝露で最も示唆的とされるのは皮膚病変と末梢神経障害で、2つ選ぶ本問ではより代表的なc・dが正答とされたと考えられます(出題者の理由は未公表)。
b.有機リン ―― 散瞳。誤り。コリンエステラーゼ阻害によるムスカリン症状で、瞳孔は縮瞳(ピンホール状)になるのが典型です。ニコチン様症状として散瞳が挙がることもありますが、代表的な組合せではありません。
c.パラコート ―― 肺障害。正しい。毒性は肺・肝・腎に及び、摂取量に応じて肺の瘢痕化が進みます。
d.カドミウム ―― 腎障害。正しい。腎を障害し、骨を弱くします。吸入では肺も障害されます。
e.エタノール ―― 視神経障害。誤り。視神経の障害・萎縮による失明はメタノール中毒の代表的な後遺症で、エタノールではありません。
覚えるポイント
パラコートは肺線維化、カドミウムは腎と骨、メタノールは視神経、有機リンは縮瞳。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Paraquat | Chemical Emergencies | CDC
- Cadmium | ToxFAQs | ATSDR
- Organophosphate Poisoning and Carbamate Poisoning – MSD Manual Professional Edition
- Methanol: Systemic Agent | NIOSH | CDC
- Arsenic Toxicity: Clinical Assessment | ATSDR
- Arsenic (WHO fact sheet)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。