妊婦の尖圭コンジローマと頸部細胞診異常|第103回医師国家試験D42

第103回医師国家試験 D42(2009年)

正答:a・d・e

問題

24歳の初妊婦。妊娠14週。子宮頸部細胞診の異常と外陰部腫瘤とを指摘され来院した。細胞診はクラスⅢa。視診では、腟壁と外陰部とに鶏冠状外観を呈する腫瘤を認める。外陰部の写真(別冊No.18)を別に示す。

正しいのはどれか。3つ選べ。

a.妊娠の継続は可能である。

b.子宮頸癌発症リスクが高い。

c.新生児産道感染は起こらない。

d.コルポスコピィ検査が必要である。

e.ヒト乳頭腫〈human papilloma〉ウイルス6または11型感染である。

別冊No.18 外陰部の写真。腟前庭から会陰側に、表面が細かく隆起した乳頭状の淡紅白色腫瘤がある。
別冊No.18 / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

鶏冠状の外陰・腟壁腫瘤は尖圭コンジローマで、原因の約90%はHPV6・11型です(e)。妊娠中も継続できます(a)。クラスⅢaの細胞診異常は、コンジローマとは分けて精密検査が必要です(d)。公式正答はa・d・eです。bが除かれるのは6・11型が非発癌性型だからですが、細胞診異常の患者で頸部病変を軽視してよいという意味ではありません。なお現在の報告はクラス分類ではなくベセスダ分類です。

画像の見方

外陰部の写真。腟前庭から下方へ、表面が乳頭状・鶏冠状に隆起した淡紅白色の腫瘤が広がる。

各選択肢の検討

a.妊娠の継続は可能である。正しい。HPV感染自体は妊娠の継続を妨げません。尖圭コンジローマが妊娠中断の理由にはならず、治療薬の選択だけ配慮します(ポドフィロックスは妊娠中禁忌)。

b.子宮頸癌発症リスクが高い。公式正答ではない。尖圭コンジローマの約90%は非発癌性のHPV6・11型によるもので、この病変自体が頸癌の前段階ではありません。ただし16・18型などの同時検出もあり、本例の細胞診異常は別に評価します。

c.新生児産道感染は起こらない。誤り。まれですが分娩時に母から児へHPVが感染します。6・11型は喉頭の乳頭腫の原因にもなるので、「起こらない」は言い過ぎです。

d.コルポスコピィ検査が必要である。正しい。旧クラスⅢaはベセスダ分類のASC-US、ASC-H、LSIL、一部のHSILにまたがります(病院の案内資料の対応表による)。ASC-USならHPV検査で振り分ける方法もありますが、それ以外は直ちにコルポスコピーで頸部を観察し、必要な部位を生検します。

e.ヒト乳頭腫〈human papilloma〉ウイルス6または11型感染である。正しい。鶏冠状の外陰・腟壁腫瘤は尖圭コンジローマで、約90%が6または11型です。

覚えるポイント

コンジローマはHPV6・11型(低リスク)。頸部細胞診異常は別問題としてコルポスコピーで評価する。妊娠は継続可、産道感染はまれにある。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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