第103回医師国家試験 D5(2009年)
正答:a・e
問題
専門施設への搬送を考慮すべき熱傷はどれか。2つ選べ。
a.両手両足(Ⅲ度)
b.左上腕前面(Ⅱ度)
c.右下腿後面(Ⅱ度)
d.胸腹部の前後面(Ⅰ度)
e.口腔内に煤付着のある顔面(Ⅰ度)
正答の理由
公式正答はa・eです。Artzの基準では、顔面・手・足のⅢ度熱傷と気道損傷の合併は、面積によらず総合病院・熱傷専門病院で治療する重症熱傷です。現行の米国熱傷学会の紹介指針でも、顔・手・足の深達性熱傷と吸入損傷の疑いは、搬送を考慮して直ちに相談する対象です。口腔内の煤は、皮膚の深度が浅くても気道損傷を疑わせます。
各選択肢の検討
a.両手両足(Ⅲ度)。正しい。手足のⅢ度熱傷は面積が小さくてもArtzの重症に分類され、現行の紹介指針でも顔・手・足の深達性熱傷は相談対象です。
b.左上腕前面(Ⅱ度)。誤り。上腕前面に限られるⅡ度は小範囲で、Artzの基準では15%TBSA以下のⅡ度は外来治療可能な軽症です。
c.右下腿後面(Ⅱ度)。誤り。下腿後面に限られるⅡ度も同様に小範囲です。関節に及ぶ深達性熱傷なら別に評価します。
d.胸腹部の前後面(Ⅰ度)。誤り。Ⅰ度は表皮にとどまり、広範でも熱傷面積の計算に含めません。Artzの重症基準にも入りません。
e.口腔内に煤付着のある顔面(Ⅰ度)。正しい。顔面の皮膚はⅠ度でも、口腔内の煤は気道への熱・煙の曝露を示唆し、吸入損傷を疑います。早期の気道評価が必要で、挿管も検討します。
覚えるポイント
搬送を考える熱傷は、顔・手・足・会陰の深い熱傷、Ⅲ度、広範なⅡ度、気道損傷。Ⅰ度は面積に数えない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- 熱傷診療ガイドライン〔改訂第3版〕(日本熱傷学会、2021)
- American Burn Association: Burn Patient Referral Guidelines
- MSD Manual Professional Edition: Burns
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。