第103回医師国家試験 B47(2009年)
正答:a・b
問題
分娩直後の新生児。在胎39週、経腟分娩で出生した。羊水混濁は認めない。出生直後に啼泣はなく自発呼吸も認めない。四肢にチアノーゼを認め、筋緊張は弱い。心拍数100/分。
直ちに行うのはどれか。2つ選べ。
a.乾布による全身の水分の拭き取り
b.背部・足底部刺激
c.心臓マッサージ
d.静脈路確保
e.気管挿管
正答の理由
啼泣がなく筋緊張も弱いので、出生直後の評価で蘇生処置の対象です。まず行う蘇生初期処置は、保温しながら気道を確保し、温めた乾いたタオルで皮膚の羊水を拭き取り、背部や足底の刺激で呼吸を誘発することです。公式正答はa・bです。心拍数100/分は胸骨圧迫の基準より十分高く、循環の補助を先に行う場面ではありません。初期処置のあとも自発呼吸がなければ人工呼吸へ進みます。なお引用したガイドラインと2020年版アルゴリズムは出題後の版ですが、この初期の順序はこの範囲で矛盾しません。
各選択肢の検討
a.乾布による全身の水分の拭き取り。正しい。体表の羊水を拭くことは低体温を防ぐだけでなく、それ自体が呼吸を誘発する皮膚刺激にもなります。
b.背部・足底部刺激。正しい。背部や体幹をタオルでこすり、不十分なら足底を平手で2、3回たたくか指で弾きます。
c.心臓マッサージ。誤り。2020年版アルゴリズムの胸骨圧迫は、適切な人工呼吸を行っても心拍60/分未満の場合です。この児の100/分は該当しません。
d.静脈路確保。誤り。薬物投与の経路確保は、人工呼吸と胸骨圧迫を続けても改善しないときの段階です。
e.気管挿管。誤り。初期処置の直後の段階ではなく、人工呼吸で換気が適切にできない場合などに検討します。羊水混濁もありません。
覚えるポイント
啼泣なし・筋緊張低下は蘇生の対象。まず保温・気道確保・拭き取り・刺激、無呼吸が続けば人工呼吸、胸骨圧迫は心拍60/分未満。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- 産婦人科診療ガイドライン―産科編2011(日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会、Internet Archive写し)
- 2020年版 NCPR アルゴリズム(日本蘇生協議会)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。