第103回医師国家試験 B43(2009年)
正答:c
問題
22歳の男性。地方都市の素封家に生まれ、不自由なく育った。地元の高校を卒業後、大都市の大学に入学した。ほどほどに勉強し、サークル活動に参加し、親友もでき、ガールフレンドができたり別れたりして、大学生活に満足しているつもりだった。ところが、友人たちが就職を話題にする時期になって、自分は人生に何を求めているのか、わからなくなってしまった。両親は家業を継ぐことを期待しているし、自分もそのつもりだったが、それでいいのだろうか。このまま社会に出るのが不安になってきた。
この青年が直面している課題はどれか。
a.社会性の習得
b.分離不安の克服
c.自我同一性の形成
d.自己中心性の獲得
e.抽象的思考能力の向上
正答の理由
公式正答はcです。自分は何を求めているのか、家業を継ぐことでよいのかと揺れているのは、Eriksonの青年期の課題である同一性対役割混乱にあたります。友人関係や大学生活は保たれており、問題は自分の役割と生き方の定まり方にあります。
各選択肢の検討
a.社会性の習得。誤り。親友も恋人もでき、サークル活動にも参加していて、社会性の問題は描かれていません。
b.分離不安の克服。誤り。愛着対象から離れることへの過度の不安で、親元を離れて生活できているこの例には合いません。
c.自我同一性の形成。正しい。自分の生き方や職業上の役割を問い直す青年期の中心的な課題です。
d.自己中心性の獲得。誤り。獲得すべき発達課題ではなく、自分の生き方を問う本例の悩みとも異なります。
e.抽象的思考能力の向上。誤り。抽象的思考は思春期早期から発達し始めるもので、本例はその能力の不足を訴えていません。
覚えるポイント
Eriksonの青年期の課題は同一性対役割混乱。進路に迷う青年の「自分は何者か」という問いがこれにあたる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Innovating Counseling for Self- and Career Construction: Theoretical Premises, Antecedents, and Associations
- Separation Anxiety Disorder – MSD Manual Professional Edition
- Psychosocial Development in Adolescents – MSD Manual Consumer Version
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。