扁桃周囲膿瘍の緊急対応|第103回医師国家試験A47

第103回医師国家試験 A47(2009年)

正答:c・d

問題

24歳の男性。2日前から急激に増強する嚥下痛と開口障害とを主訴に来院した。1週前から咽頭痛を自覚していた。体温38.4℃。白血球12,800。CRP 5.7mg/dl。咽頭所見(別冊No.16A)と頸部造影CT(別冊No.16B)とを別に示す。

直ちに行うのはどれか。2つ選べ。

a.生検

b.気道確保

c.切開排膿

d.抗菌薬投与

e.中心静脈栄養

別冊No.16A 咽頭所見。写真左側(患者右側)の軟口蓋が発赤腫脹し、口蓋垂が反対側へ押されている。
別冊No.16A / 出典:厚生労働省・第103回A別冊(原本の該当ページ)
別冊No.16B 頸部造影CT横断像。写真左側の咽頭側に辺縁が造影される低吸収域があり、気道が反対側へ圧排されている。頸部にはリンパ節腫大を疑う構造もある。
別冊No.16B / 出典:厚生労働省・第103回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

公式正答はc・dです。咽頭痛に続く強い嚥下痛と開口障害、片側の軟口蓋の発赤腫脹、CTの片側の辺縁が造影される低吸収域から扁桃周囲膿瘍と判断します。治療は好気性菌と嫌気性菌を覆う抗菌薬と、穿刺または切開による排膿です。補液や鎮痛も併せて行い、気道は経過を見ます。

画像の見方

16A:写真左側(患者右側)の軟口蓋が発赤して膨隆し、口蓋垂が対側へ偏位する。16B:同側の咽頭側に辺縁造影を伴う低吸収域、気道の対側圧排(内腔は保たれる)。頸部にはリンパ節腫大を疑う構造もあるが、血管との区別は本図のみでは断定しない。写真左=患者右は通常の表示として読み、16Aと16Bで左右は一致する。

各選択肢の検討

a.生検。誤り。急性感染の経過で、CTも膿瘍の像です。腫瘍を疑う状況ではなく、生検は不要です。

b.気道確保。誤り。問題文に呼吸困難や喘鳴の記載はなく、CTでも気道は偏位しつつ内腔が保たれています。入院時に気道の監視が必要な例はありますが、本例で直ちに確保する根拠はありません。

c.切開排膿。正しい。膿瘍には排膿が必要で、通常は局所麻酔で切開します。

d.抗菌薬投与。正しい。連鎖球菌、ブドウ球菌やバクテロイデスなど複数菌が関わるので、好気性菌と嫌気性菌を覆います。

e.中心静脈栄養。誤り。排膿と抗菌薬で改善を図る疾患で、経静脈の補液はしても中心静脈栄養は初期対応ではありません。

覚えるポイント

咽頭痛の後の開口障害・片側軟口蓋腫脹は扁桃周囲膿瘍。排膿+抗菌薬。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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