Creutzfeldt-Jakob病|第102回医師国家試験I74

第102回医師国家試験 I74(2008年)

正答:c

問題

56歳の男性。歩行時のふらつきを主訴に4か月前に来院した。酒に酔っているかのように左右にふらふらして歩くようになり、本人は「平衡感覚がおかしい」、「視点を動かすと風景の残像がしばらく残る」、「夜になるとものが見にくい」、「字が読みにくい」などと訴えていた。食欲はあった。2か月前から喋らなくなり、意思の疎通が困難になり、一日布団の上で寝て過ごすようになった。妻が世話していたが、トイレには行かずにオムツを使っていた。今月から呼びかけに全く反応しなくなり、周囲の物に視線を向けなくなった。また体がカチカチになってきて、上半身を起こすことができなくなった。食べ物は口に押しつければ、なんとか食べることができた。

るいそう、脱水、褥瘡、除皮質硬直、ミオクローヌス及び四肢深部腱反射亢進を認める。

頭部単純MRIのT2強調像と拡散強調像(別冊No.16A、B)とを別に示す。

最も考えられるのはどれか。

a.多発性硬化症

b.神経Behçet病

c.Creutzfeldt-Jakob病

d.副腎白質ジストロフィー

e.MELAS〈ミトコンドリア脳筋症〉

別冊No.16A 頭部MRIのT2強調水平断像。脳溝がやや目立つが、明らかな腫瘤性病変や広範な白質の高信号域は指摘できない。
別冊No.16A / 出典:厚生労働省・第102回I別冊(原本の該当ページ)
別冊No.16B 同じ高さの拡散強調像。大脳皮質に沿う帯状の高信号が両側にみられる。
別冊No.16B / 出典:厚生労働省・第102回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

4か月で歩行障害と視覚症状から無動性無言に進み、除皮質硬直とミオクローヌスを伴っています。拡散強調像では大脳皮質に沿う帯状の高信号がみられます。Creutzfeldt-Jakob病は認知症・ミオクローヌス・その他の中枢神経症状を示し、発症から4か月〜2年で死亡するとされ、最良の非侵襲的検査は拡散強調MRIで、皮質リボンや基底核に進行する高信号域を検出するとされます。公式正答はcです。

画像の見方

16A:T2強調水平断像で、脳溝がやや目立つ。明らかな腫瘤性病変、出血、広範な白質高信号域は指摘できない。16B:同じ高さの拡散強調像で、大脳皮質に沿う帯状の高信号(皮質リボン状高信号)が両側にみられる。印刷物をスキャンした画像でウィンドウ条件が不明なため、信号強度と左右差の定量は行っておらず、基底核の高信号の有無も断定しない。

各選択肢の検討

a.多発性硬化症。誤り。本例の4か月で無動性無言に至る経過とミオクローヌス、拡散強調像の皮質リボン状高信号という組合せは、CJDに特徴的とされる所見で、多発性硬化症を支持する所見は示されていません。

b.神経Behçet病。誤り。口腔内アフタ、陰部潰瘍、眼症状といったBehçet病を疑う所見の記載がなく、示された画像所見もCJDに特徴的なものです。

c.Creutzfeldt-Jakob病。正しい。認知症とミオクローヌスを含む中枢神経症状が数か月で進み、拡散強調MRIで皮質リボンの高信号がみられるという、CJDに最も合う組合せです。

d.副腎白質ジストロフィー。誤り。白質を広く侵す病気で、本例のT2強調像に広範な白質高信号域は指摘できず、提示された所見はCJDに特徴的なものです。

e.MELAS〈ミトコンドリア脳筋症〉。誤り。卒中様発作の反復を示す記載がなく、提示された画像所見もCJDに特徴的なものです。

覚えるポイント

急速に進む認知症+ミオクローヌス+DWIの皮質リボン状高信号=Creutzfeldt-Jakob病。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第102回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました