小児の下腿遠位の無痛性骨性隆起|第102回医師国家試験I54

第102回医師国家試験 I54(2008年)

正答:b

問題

12歳の男児。6か月前から自覚していた左下腿遠位の無痛性の隆起を主訴に来院した。膝関節と足関節との可動域は正常である。左下腿骨エックス線単純写真(別冊No. 9)を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

a.骨腫

b.骨軟骨腫

c.類骨骨腫

d.骨巨細胞腫

e.単発性骨嚢腫

別冊No. 9 左下腿骨エックス線単純写真の正面像と側面像。脛骨遠位骨幹端の外側に、母骨の皮質と連続した幅の広い骨性隆起があり、腓骨が外側へ押しのけられている。
別冊No. 9 / 出典:厚生労働省・第102回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

12歳の男児の、6か月かけてゆっくり大きくなった無痛性の骨性隆起です。正面像では脛骨遠位の骨幹端外側に、皮質が母骨の皮質から連続したまま幅広く外へ張り出す骨性突出があり、隣接する腓骨が外側へ押しのけられています。骨破壊や骨膜反応はありません。確認した資料では、骨軟骨腫は最も多い良性骨腫瘍で長管骨の骨端近くに生じ、10〜20歳代に多く、画像上の主な診断的特徴は母骨の髄腔と骨性隆起の基部の髄腔が連続していることとされています。以上から骨軟骨腫が最も考えられ、公式正答はbです。

画像の見方

左下腿骨のエックス線単純写真で、左が正面像、右が側面像(原本に「正面」「側面」の表示がある)。正面像では脛骨遠位骨幹端の外側縁が幅広く外方へ張り出し、その皮質は母骨の皮質から途切れずに連続している。隆起は基部が幅広い無茎性で、隣接する腓骨遠位部を外側へ押しのけている。茎が細くないため、突出が関節から遠ざかる向きかどうかは本写真では示せない。骨皮質の破壊、虫食い像、骨膜反応、軟部組織腫瘤は認めない。骨端線は開存している。側面像でも遠位骨幹端の輪郭が外方に膨らんでみえるが、重なりのため突出の形は正面像のほうが明瞭である。

各選択肢の検討

a.骨腫。誤り。確認した資料では骨腫は均一に高密度な骨形成性腫瘍で頭蓋骨に最も多く、体幹骨や骨盤にはまれで、ふつう無痛で偶然見つかるとされています。長管骨骨幹端から外へ張り出す隆起とは画像が異なります。

b.骨軟骨腫。正しい。長管骨の骨端近くに生じ、母骨の皮質・髄腔と連続した骨性隆起として描出されます。発症年齢と無痛性の隆起という訴えにも合います。

c.類骨骨腫。誤り。5〜25歳に多い点は合いますが、夜間に強い疼痛があり非ステロイド性抗炎症薬で軽快するのが特徴で、画像は硬化帯に囲まれた小さな透亮巣(nidus)です。本例は無痛性です。

d.骨巨細胞腫。誤り。20歳代から30歳代に多く、骨端から骨幹端にかけて生じる膨張性の溶骨性病変で局所侵襲性が強いとされます。12歳で骨幹端外側に突出する骨性隆起という像とは異なります。

e.単発性骨嚢腫。誤り。確認した資料では、小児の長管骨で骨端板に接した側から生じる液体で満たされた嚢胞で、皮質が菲薄化して病的骨折を起こし強い痛みで気づかれることが多いとされます。外方へ突出する骨性隆起ではありません。

覚えるポイント

骨軟骨腫は長管骨の骨端近くに生じ、母骨の皮質・髄腔と連続した骨性隆起として描出されるのが決め手。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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