SIADHの病態と検査所見|第102回医師国家試験I21

第102回医師国家試験 I21(2008年)

正答:c

問題

ADH不適合分泌症候群〈SIADH〉について正しいのはどれか。

a.浮腫を認める。

b.尿量は減少する。

c.尿浸透圧は血漿浸透圧よりも高い。

d.血清尿素窒素は高値である。

e.血漿アルドステロン濃度は高値である。

正答の理由

公式正答はcです。SIADHは、血漿浸透圧が低いにもかかわらずバソプレシン(ADH)が分泌され続け、腎の遠位ネフロンで水が再吸収されて希釈性(等容量性)の低ナトリウム血症をきたす病態です。診断の柱は、血清浸透圧が低いのに尿が十分に希釈されず、尿浸透圧が血清浸透圧に対して不適切に高いことを示すことにあります。

各選択肢の検討

a.浮腫を認める。誤り。SIADHで生じるのは等容量性(希釈性)の低Na血症で、体内総Na量と細胞外液量は正常ないしほぼ正常にとどまります。身体所見で溢水でも脱水でもないこと(euvolemic)が診断の前提で、浮腫は特徴ではありません。

b.尿量は減少する。誤り。SIADHで異常なのは尿の量ではなく濃さで、血清が低浸透圧のときに本来出るはずの希釈尿(尿浸透圧100 mOsm/kg未満)が出ない点が問題です。診断は血清・尿の浸透圧と電解質で行い、尿量の減少は診断の条件に挙げられていません。

c.尿浸透圧は血漿浸透圧よりも高い。正しく、これが正答。低い血清浸透圧に対して尿浸透圧が不適切に高いことが、等容量性の患者でSIADHを示す中心所見です。

d.血清尿素窒素は高値である。誤り。SIADHでは血清尿素窒素(BUN)とクレアチニンは正常で、血清尿酸はむしろ低値になるのが一般的です。

e.血漿アルドステロン濃度は高値である。誤り。SIADHでは尿中Na濃度が通常30 mEq/L以上、Na排泄分画が1%を超えており、Naが尿へ出ていく状態です。Naを保持する方向に働くアルドステロンが亢進した病態とは考えにくい所見です。

覚えるポイント

SIADHは等容量性(希釈性)低Na血症。血清浸透圧が低いのに尿が希釈されず尿浸透圧が不適切に高い、BUN正常・尿酸低値・尿中Na高値が手がかり。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第102回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました