頭部外傷のCT(硬膜外血腫)|第102回医師国家試験I17

第102回医師国家試験 I17(2008年)

正答:b

問題

頭部外傷患者の頭部単純CT(別冊No. 2)を別に示す。

診断はどれか。

a.皮下血腫

b.硬膜外血腫

c.硬膜下血腫

d.くも膜下出血

e.脳内血腫

頭部単純CT横断像1枚。画像左側の前頭部で頭蓋内板に接して境界明瞭な凸レンズ型(両凸)の高吸収域がみられる。
別冊No. 2 / 出典:厚生労働省・第102回I別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

公式正答はbです。MSDは硬膜外血腫のCT所見を「硬膜外腔の高吸収域、古典的には凸レンズ型(lenticular)で、側頭骨骨折による中硬膜動脈損傷に対応して側頭窩に生じる」とし、急性硬膜下血腫は「硬膜下腔の高吸収域、古典的には三日月型」としています。提示されたCTは頭蓋内板に接する境界明瞭な凸レンズ型の高吸収域(中心部の平均グレー値170.3、対側脳実質95.4)で、硬膜外血腫の所見に合致します。

画像の見方

切り出した図(assets/102i/102i017-figure.png、860×890画素)で、画像左側の前頭部に頭蓋内板へ広く接する境界明瞭な凸レンズ型(両凸)の高吸収域がある。血腫の中心部(y205-255, x225-290の50×65画素)の平均グレー値は170.3で、対側前頭部の脳実質(y250-320, x450-520)の平均95.4より明らかに高い。血腫の内側縁は脳側へ凸で、脳溝や脳表に沿って薄く広がる形ではなく、脳実質内に境界をもつ血腫でもない。両側の側脳室は描出されている。頭部が回旋して撮影されているため正中構造の偏位の有無は断定できず、このスライスだけでは頭蓋骨骨折の有無も判定できない。

各選択肢の検討

a.皮下血腫。誤り。血腫は高吸収の頭蓋骨より内側にあり、頭皮・皮下組織の腫脹ではありません。

b.硬膜外血腫。正しい。頭蓋骨と硬膜の間に生じる血腫で、CTでは古典的に凸レンズ型の高吸収域を示します。大きいものや急速に拡大するものは動脈性(典型的には中硬膜動脈)で、介入しなければ急速に悪化しうる病態です。

c.硬膜下血腫。誤り。硬膜とくも膜の間に生じ、CTでは古典的に三日月型の高吸収域を示します。本例の血腫は内側縁が凸の凸レンズ型です。

d.くも膜下出血。誤り。くも膜下腔(脳溝・脳槽)に沿って高吸収が分布する所見であり、本例のような頭蓋内板に接する境界明瞭な塊状の血腫ではありません。

e.脳内血腫。誤り。脳実質内に出血が存在する病態で、本例の高吸収域は頭蓋内板に接して脳を外から圧排しています。

覚えるポイント

凸レンズ型=硬膜外血腫(中硬膜動脈・側頭骨骨折)、三日月型=硬膜下血腫(架橋静脈)。高齢者や抗凝固薬内服では慢性硬膜下血腫も考える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第102回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました