成人T細胞白血病〈ATL〉の特徴|第102回医師国家試験I2

第102回医師国家試験 I2(2008年)

正答:d

問題

成人T細胞白血病について正しいのはどれか。

a.潜伏期は約5年である。

b.日本海沿岸部に多発する。

c.白血病細胞はCD8陽性である。

d.母乳を介した母子感染がある。

e.病因ウイルスはHIV-1である。

正答の理由

公式正答はdです。成人T細胞白血病〈ATL〉は、幼少時に母乳を介して母親から感染したHTLV-1キャリアに発症する疾患です。長崎県の母子感染防止事業では長期母乳哺育群の感染率が約20%であったのに対し人工栄養児では3.2%で、感染の83%が予防されました。感染細胞はCD4陽性T細胞で、近年の患者は60〜70歳代が最も多く、国内キャリアは沖縄・鹿児島・宮崎・長崎に強く集積します。

各選択肢の検討

a.潜伏期は約5年である。誤り。感染は幼少時の母乳を介して成立する一方、近年の発症者は60〜70歳代が最も多く、感染から発症までは数十年を要します。

b.日本海沿岸部に多発する。誤り。沖縄・鹿児島・宮崎・長崎各県のキャリア率が約5%と高く、九州・沖縄に世界的にみても最も強い地域集積があります。これらの県の人口は全国の約4.6%ですが国内キャリアの3分の1を占めます。

c.白血病細胞はCD8陽性である。誤り。HTLV-1はCD4陽性T細胞のDNAに組み込まれ、そのCD4陽性感染細胞が単クローン性に増殖したものがATLです。

d.母乳を介した母子感染がある。正しい。ATLは幼少時に母乳を介して母親から感染したHTLV-1キャリアに発症するとされ、キャリア母乳からは毎日多量の感染細胞が児へ移行します。

e.病因ウイルスはHIV-1である。誤り。病因はヒトレトロウイルスHTLV-1です。HTLV-1の母乳以外の感染経路は輸血・臓器移植・注射などの血液移入と性交に限られます。

覚えるポイント

ATL=HTLV-1、CD4陽性T細胞、母乳による母子感染、九州・沖縄に集積、発症までは数十年。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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