第102回医師国家試験 H30(2008年)
正答:b
問題
72歳の女性。咳を主訴に来院した。3日前から咳が出るようになり、食欲も徐々に減退した。昨日はお茶を湯飲みに3杯飲んだが、食事はとれなかった。今朝からは寒気がして、身体が震えるという。意識は清明。体温38.2 ℃。脈拍96/分、整。血圧138/80 mmHg。皮膚はやや乾燥している。胸部右背面で吸気時のcoarse cracklesを聴取する。指導医と相談し、入院させて維持液1,500 mlを9時間かけて輸液することとした。輸液セットを輸液容器に接続した。輸液セットの包装紙の記載と輸液セットの模式図(別冊No. 6)とを別に示す。
点滴筒で1分間に滴下する設定数で正しいのはどれか。
a.96滴
b.56滴
c.34滴
d.12滴
e.7滴

正答の理由
公式正答はbです。別冊No. 6の包装紙の記載に「一般的名称自然落下式輸液セット」「点滴量 1 mL≒20滴」とあります。投与量1,500 mlは1,500×20=30,000滴に相当し、投与時間9時間は9×60=540分です。30,000÷540=55.6滴/分となり、設定する整数値としては56滴/分が正しくなります。検算すると、56滴/分×540分÷20滴/mL=1,512 mLで、指示の1,500 mLとほぼ一致します。
画像の見方
別冊No. 6は上段が輸液セットの包装紙の記載、下段が輸液セットの模式図である。包装紙の記載は3行の枠で、1行目に「管理医療機器」、2行目に「一般的名称自然落下式輸液セット」と、その右の欄に「点滴量 1 mL≒20滴」、3行目に「単回使用エチレンオキサイドガス滅菌済」とある。模式図は上から輸液容器(目盛り付きのバッグ)、ビン針、点滴筒、クレンメ、チューブがループを描いた先にト字管、末端にロックコネクターの6か所が引き出し線と名称で示されている。滴下速度の計算に用いる数値は「1 mL≒20滴」のみである。
各選択肢の検討
a.96滴。誤り。96滴/分では540分で51,840滴、容量にして2,592 mLとなり、指示量1,500 mLの1.7倍を超えます。
b.56滴。正しく、これが正答。30,000滴÷540分=55.6滴/分で、56滴/分なら9時間で約1,512 mLになります。
c.34滴。誤り。34滴/分では540分で18,360滴、容量にして918 mLにしかなりません。
d.12滴。誤り。12滴/分では540分で6,480滴、容量にして324 mLで、指示量の約2割にとどまります。
e.7滴。誤り。7滴/分では540分で3,780滴、容量にして189 mLで、指示量とかけ離れます。
覚えるポイント
滴下数(滴/分)は、投与量(mL)×1 mLあたりの滴数÷投与時間(分)で求める。成人用の自然落下式輸液セットは1 mL≒20滴。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。