喫煙者への肺癌リスクの説明|第102回医師国家試験H28

第102回医師国家試験 H28(2008年)

正答:d

問題

50歳の男性。病気に対する不安感を主訴に来院した。20歳から喫煙を開始し、1日20本吸い続けてきた。最近、親戚が肺癌にかかったことで心配になり、自分も近いうちに肺癌にかかるのではないかと質問してきた。

説明で適切なのはどれか。

a.「毎年肺癌検診を受ければ大丈夫です」

b.「直ちに禁煙しないと肺癌にかかります」

c.「食事に気をつければ肺癌は予防できます」

d.「これから禁煙すれば肺癌にかかる可能性は減ります」

e.「喫煙を続けても肺癌にかかる可能性は小さいので安心してください」

正答の理由

公式正答はdです。厚生労働省「喫煙と健康喫煙の健康影響に関する検討会報告書」は、喫煙と肺がんについて「科学的証拠は、喫煙と肺がんとの因果関係を推定するのに十分である(レベル1)」と判定したうえで、「多くの研究が量反応関係を示しており、禁煙によるリスクの減少も明らかである」と述べています。MSD ManualのSmoking and Other Tobacco Useの項も、たばこを使用するすべての患者に禁煙を勧め、禁煙の支援を提供すべきだとしています。30年の喫煙歴がある人でも、これから禁煙すれば肺癌にかかる可能性は下がるという説明は、根拠があり、かつ行動変容につながる伝え方です。

各選択肢の検討

a.「毎年肺癌検診を受ければ大丈夫です」。誤り。検診は早期に見つけるための検査であり、報告書がレベル1と判定した喫煙による発がんリスクの増加そのものをなくすものではないので、「大丈夫」と保証できません。

b.「直ちに禁煙しないと肺癌にかかります」。誤り。報告書が示しているのは非喫煙者に対する相対リスクの増加(男性で扁平上皮癌11.7、腺癌2.30など)であって、喫煙者が必ず発症するという意味ではありません。

c.「食事に気をつければ肺癌は予防できます」。誤り。報告書が肺がんとの因果関係をレベル1としているのは喫煙であり、食事で肺がんを予防できるとは述べていません。禁煙から話をそらす説明です。

d.「これから禁煙すれば肺癌にかかる可能性は減ります」。正しく、これが正答。報告書は肺がんについて禁煙によるリスクの減少が明らかであるとしています。

e.「喫煙を続けても肺癌にかかる可能性は小さいので安心してください」。誤り。報告書が示す相対リスクに反し、MSD Manualが求める「禁煙を勧める」という対応とも逆です。

覚えるポイント

喫煙と肺がんの因果関係は確立しており禁煙によるリスク減少も明らかなので、現喫煙者には脅しでも保証でもなく「今からの禁煙でリスクが下がる」と伝える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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